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憎たらしいほど妖艶に笑う壱馬くん。
今までMVやパフォーマンスで
たくさんセクシーな表情とか見てきたけど
こんなにも色気だして無邪気に笑うなんて！
「いりません！！」
「はははは、かわい」
軽く笑って気にも止めないこの子は
テレビをつけてソファーに沈む。
完璧に、この子のペースに飲まれてる…！
『現場よ、り…中継で、』
「うわぁ、映像乱れてますね」
その声にテレビを観ると
アナウンサーはレインコートでは
意味をなさぬほどの雨にうたれていて
雨はまるで波のように動いて見える。
「みんな大丈夫かな…」
「室内にいるならひとまずは」
「陸くんも事務所にみんな連れていけた
って連絡はあったんだけどね、心配やね」
チラッとベランダの方を見た。
「えっ？」
「どうしました？」
「な、なんか、人の姿みたいな…」
カーテンに人の姿みたいな
そんな影が映ったように見えた…
気のせい…？
「Aさん？」
不安と恐怖で心臓がバクバクと音を発てる。
ゆっくりと、窓に近づく。
「か、かずまくん…なんかあったら逃げてね」
「いやいや！俺が行きま、」
勢いよくカーテンを引っ張る。
シャッとカーテンが流れる勢いある音を
掻き消すようにドンッと鈍い音が鳴り響き
空に稲妻が走る。
「うわあああああっ！？」
「Aさん落ち着いて！！」
走って来たAを抱き締める壱馬。
ゴロゴロとかそんなレベルではない
雷の音と光りのせいでテレビと電気が消え
辺りは真っ暗になり、
カーテンが外れた窓から外の光りが漏れる。
「…あれ？慎のキャップ？」
壱馬はAを抱き締めながら
ベランダに近づき外の様子を見ると
木に引っ掛かる帽子が
２人の視界には入ってきた。
「あ、あああ！あれ！慎くんの大事なやつ！」
「天気良かったら干してたんかも」
「ど、どうしよう！？
あれ慎くん凄く大事にしてるのに！」
「諦めるしか…」
ベランダさえも雨で濡れてしまい
屋根は最早水を流すシャワーのよう。
地面も草も木も色を変えてしまい
枝はしなるように揺れて折れてしまいそうで
空には時折、白い稲妻が走る。
「壱馬くん！慎くんの部屋！！
他の帽子の様子見てきて！あと窓！」
「は、はい」
壱馬は走って二階に上がっていく。
「だ、大丈夫！大丈夫！台風じゃない！」
Aは息をゆっくり吐いて、
ゴクリと唾を飲み込むとベランダを開けた。
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とめ(プロフ) - 更新ありがとうございます。また更新止まってしまうのはさみしいですが、再開を楽しみにしています。何度も読み返させて頂きます。 (2020年4月22日 7時) (
レス) id: 65407b2b6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梨味 | 作成日時：2019年12月5日 4時
