148.side K.K ページ4
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side Kazuma.K
あの生放送の日から何かしっくり来ない。
気持ちが上がらない。
いつもどおり仕事はこなせているけど
何かが足りない。
久しぶりに１人で過ごす休みだったから
買い物に出掛けていたけど
たまたま入ったカフェから見えたのは
陸さんと仲良く歩いてきて
寄り添ってキッチンカーに並ぶAさん。
リフレッシュしに買い物に出たはずが
最悪の現場に遭遇して思わず目を伏せた。
なんで休日にまであの人に
心を掻き乱されなきゃいけないのか。
楽しそうに嬉しそうに笑っていて
「あの２人凄いお似合いじゃない？」
「うわぁー、あんな彼氏いいよねー」
誰からどう見てもお似合いで
付き合っている２人にしか見えない。
なんで俺があの人の隣におらんのやろ…。
「はあぁ…最悪や…」
三階の海青に酷くやきもきして
ファーストキスやら初恋やらに頭を抱えて
それでも諦められない。
「買い物行こ…」
溜め息を吐き出して、嫉妬を押さえつける。
たまに息が出来なくなるほど苦しくなる。
あの人が誰かに笑いかけるだけで
簡単に海青を抱きしめるだけで
樹のために特別なかき氷を作るだけで
陸さんと仲良く歩いているだけで、
苦しくて、喉が熱くなって息が出来ない。
ストレス発散のごとく買い物をすると
時計は３時半を過ぎていて
外は薄暗く傘も意味が無さそうなほどの大雨。
今日だけ何度、最悪と思うのだろうか。
もう厄日や。
なかなか捕まえられないタクシー。
呼んでも直ぐには来ないタクシー。
そんなタクシーにやっと乗れたのに渋滞。
「はあぁ…ほんま最悪…」
そんな何度目かのつぶやきも
「おかえり、壱馬くんっ！」
Aさんが出迎えてくれるだけで
どこかに吹っ飛んでしまう。
「何してるんですか？」
「ん？壱馬くん待ってたの。
それよりめっちゃ濡れてる！拭こ！」
玄関に座っていたAさんは立ち上がり
抱えていた真っ白のタオルで髪を拭いてくれる。
「よし、こんなもんかな。
はい、荷物預かるからこっちで靴脱いで」
「は、はい」
言われるがまま靴を脱いで
用意されたタオルに上り靴下を脱ぐと
Aさんはしゃがんで俺のズボンの裾を捲った
「はい、おっけー！じゃあリビング行こ！」
Aさんは嬉しそうにニコニコして
俺の荷物と俺を引っ張っていく。
最悪な１日がこれだけで
あっさり変わりそうな俺は大概、単純だ。
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とめ(プロフ) - 更新ありがとうございます。また更新止まってしまうのはさみしいですが、再開を楽しみにしています。何度も読み返させて頂きます。 (2020年4月22日 7時) (
レス) id: 65407b2b6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梨味 | 作成日時：2019年12月5日 4時
