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部屋に戻り、騒がしく鳴る携帯を耳にあてる。
「はい、もしもし…」
「A!大丈夫か!?」
「…えっ……しげ?」
酷く慌てた声に心臓を鷲掴みされたように
ギュッと痛くなる。
「お前なんで否定せんねん!
あんなん嘘やって言うたらええやろ!」
「だって……否定しても良いことないし…」
「アホか…お前がそんなやつちゃうって
俺は知ってるけど世間はちゃうやろ…!」
つらいときに限ってあなたの声が
周りの雑音を掻き消してくれる
苦しいときに限ってあなたの言葉が
心に平穏を与えてくれる
「…嘘ってわかってくれる人がおるなら
それでええよ…しげは信じてないんやろ?」
「当たり前じゃ。あんなもん」
荒っぽい言葉なのに嬉しくて、
誰も彼も敵になってしまった世界でも
あなたただけはそうは見えない。
「…しげ……どうしよう…」
「どした!?」
「ごめん……しんどい…」
「わかってる、泣くな」
「ごめんっ…」
「着いた」
「え?どこに、」
言葉とともに、ピンポーンなんて
軽い音が外からも耳元からも聞こえて
思わず、窓のカーテンを開けた。
「おるんなら開けて」
「…まって…すぐ開ける…!」
部屋を飛び出て、ドタバタ階段を降りる
「A?」
「Aさん?」
玄関に一直線で、ドアを開けた。
「しげ!!!」
「……大丈夫か、A」
ドアを開けるなり飛び付いたAを
鍛えている体は受け止める。
走ってきたのかたくさん汗をかいていて
なのに暑さなど感じないほど爽やかで
「…大毅っ……」
「大丈夫、もう大丈夫やから」
泣いているAの頭を撫でるのは
ジャニーズWEST、重岡大毅。
「…ぅっ…誰もっ信じてくれないっ…」
「俺は信じてるんやけど?
神ちゃんも流星もわかってるし信じてるし」
「…でもっ、…」
「とりあえず、入ってもいいですか?」
ギャラリーに向かって
歯を見せて笑う彼はまさにアイドルで
「Aちょっと我慢してや」
軽々とAを抱っこして靴を脱ぐ姿は
「部屋どこ?」
幼馴染みなんかじゃなくて、ただの男だ。
そう目に映ってしまうと
言葉が喉に引っ掛かって出てこない男たちと
「さ、3階です!こちらです!」
素直に案内が出来る海青がいて
顔を白くして泣くAは
周りの顔も空気にも気づくことなく
ただの男に抱えられて部屋に連れていかれた。
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とめ(プロフ) - 更新ありがとうございます。また更新止まってしまうのはさみしいですが、再開を楽しみにしています。何度も読み返させて頂きます。 (2020年4月22日 7時) (レス) id: 65407b2b6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨味 | 作成日時:2019年12月5日 4時