紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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「ほんとだ！慎くんも持ってきてるとは思なかった！」

「まぁ出掛けるときは隠してましたから」


おそろいで買ったものを
これ見よがしに着ていったら
Aさんが気を遣うかなって思った


「あとで写真撮ろうね！」

「はい」

同じ日に同じものを着て出掛けられる

この偶然が凄く嬉しくて
正直、もう今日は大満足だったりする。

なのに、


「壱馬くんが貸してくれた本に
待ち合わせのお話があってね」


高まる気分に別の男の名前を出されると
いきなり殴られたような気持ちになる。




「曇り空を見て女性が傘を持っていくの。
男性は雨が降りそうな空を見て女性に
傘を持つように連絡するか考えててね」


どうせなら２人で傘をさせばいいや
って連絡をするのをやめるの

でも女性が傘を持ってきてしまって
安心と残念でちょっと心が乱れるとね
女性が笑って


傘、お揃いだねって




そこまで話すとAさんは嬉しそうに
でも少し照れたように笑う

穏やかな声で綴られる物語の続きが
ほんの少し気になってしまった




「それで待ち合わせしたくなったんですか？」


「うん、なんか素敵だなーと思って。
待ってもらってるほうも待ってるほうも
お互いのこと考えてて、素敵だったの」



僕だって、いつだって
あなたのことを考えてる。

いつも待たせているときも
今日の待っているあいだも、ずっと。


待ち合わせをする２人を素敵だと言うなら



「僕のこと考えてくれてたんですか？」

待ってる僕を少しは考えてくれた？



「本読んでるときからずっと考えてたよ？」

「え？」

思ってもない返答に驚く。
顔を赤くして首を振ると思ったんだけど…。



「行かないの？って聞くときは
必ず私がページをめくってからだったし

先に行きますよって言いながらも
ずっと座って待っててくれたし

たぶんだけど肌寒いよって
連絡もくれようとしてたでしょ？」



小さく本を読んでる姿が可愛くて
だからって出掛けたくないわけじゃなく
それでも邪魔はしたくなくて

タイミングを見て声をかけてたつもりだけど
そんなことお見通しだったみたい…



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