. ページ45
、
ちゃんとこの人を動揺させている。
頬を赤く色づかせてる。
「あ、」
ポツッとその頬を滴が伝う。
すると一瞬にしてどんよりとした灰色の雲が
激しい音を鳴らす。
「Aさん、こっち!」
急いで上着を脱ぎ小さな頭にかけて、腕を引いて先に見えたトンネルまで走った。
ザアァァァァ、と
まるでシャワーみたいな雨がアスファルトの色を変える。
「あぁー、これはしばらく降るね」
上着を傘代わりにトンネルまで走っても
さすがにシャワーを避けることはできなくて
全身びしょびしょ。
「ごめんね慎くん、こっちまで来ずに事務所に戻れば良かったね」
「いえ、これは仕方ないですよ」
「上着もごめんね」
「大丈夫です、体冷えますから着てください」
水を弾く素材で出来た上着に今は心底感謝する。
「髪、ぐちゃぐちゃになっちゃいましたね」
濡れた前髪が額に張り付いていて、指でゆっくり整える。
「それは慎くんもだから」
Aさんは笑顔を浮かべ、背伸びをして同じように髪の毛を整えてくれる。
「Aさん」
「なーに?」
なぜか上機嫌。
この状況でなぜか上機嫌。
不思議なくらい掴めない人だ。
「雨がこのまま止まなかったら、どうしますか?」
地面を打ち付ける音は激しくなる一方。
トンネルのコンクリートも色を変えて、
雨音しか響かないこの空間は
まるでこの街には僕ら2人だけかのような
それくらいの静かさを感じる。
、
703人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梨味(プロフ) - ナイトさん» 感想をありがとうございます。続きも大好きと言っていただけるようのんびりではありますが頑張りますのでまたぜひ読んでみてください。感想ありがとうございました! (2019年9月22日 18時) (レス) id: 190515c801 (このIDを非表示/違反報告)
ナイト(プロフ) - お話大好きです!切ないけどそういう系が好きなので!続きも楽しみです! (2019年9月22日 14時) (レス) id: b4456d44f3 (このIDを非表示/違反報告)
梨味(プロフ) - やなぎさん» 読んでいただけたことに大変嬉しく思います。そして最大級のお褒めをいただきありがとうございます!このお褒めの言葉を支えにのんびりではありますが更新を頑張りたいと思います、ありがとうございます。 (2019年9月22日 13時) (レス) id: 190515c801 (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ(プロフ) - ほのぼのしてると思いきや、切ない恋愛要素もギャグっぽい要素もあってスラスラ読めます…。梨味さんは天才ですか!? (2019年9月22日 10時) (レス) id: 9fa79fa5ce (このIDを非表示/違反報告)
梨味(プロフ) - MoMoさん» コメントありがとうございます!返事がこれで出来ているのか不安なところがありますが、ご期待に応えられるよう努力させていだだきます。もう少しお時間頂くことにはなりますがお待ちいただけると幸いです。頑張ります! (2019年9月22日 0時) (レス) id: 190515c801 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:梨味 | 作成日時:2019年9月19日 12時