【魔入間】アンラッキーを添えて【オリアス・オズワール】 (ページ10)

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日常業務と頼れるオトモダチページ10

しっかりと目を通して仕分けし終わった書類に

ひたすらに印鑑を押していく

ただ山積みになった書類に印鑑を押していくこの雑務は

単純な繰り返し作業だからこそ無駄に考え事をする余裕ができてしまう

まず真っ先に考えたのは、昨日のことだった

(昨日は、心臓に悪い日だったなぁ)

オリアス、もとい、オズのまっすぐこちらを見つめる目

捉え方を一歩間違えれば、勘違いしてしまいそうだった

(いっそ、勘違いだと

はっきりした方が楽なのかもしれない)

こんな曖昧な気持ちに振り回されて

集中力を欠いてしまうようなら。

もういっそなくしてしまったほうが、自分のためなのに

昨日ゲームに集中できなかったのもおそらく

この気持ちのせい、なのに、

それでも、高鳴るこの心臓が

彼への好意を簡単に終わらすことはできないのだと

自分に嫌でも理解させてくる

(だからと言ってフラれるために告白して、

相手に気を使わせるのも嫌だしなぁ)

そもそも、告白する勇気なんて

私は持ち合わせていないのだけれど

今はただ、彼の幸せそうなところを眺めているだけで

充分に幸せ者なのだと自分に言い聞かせた

そんなことを考えながら作業していたからか、

気が付けば山積みだった書類も残り一枚

私はその書類に印鑑を押して重力操作(フラクタル)で上に積み上げた

ヒ「…なにか、あったわけ？」

『…え？』

突然声をかけられて驚く

ぶっきらぼうに肘をつきながら、そう私に問いかけてきた彼女

ヒュール・メメ

彼女は私の同僚で友達

私が人間とのハーフであることも知っている悪魔(ヒト)だ

そして、

私がオズに向けるこの感情も知られている

『っなんで？』

ヒ「なんでって、そんなため息ついてたら嫌でも分かるだろ」

彼女らしいとげのある口調と態度でそう告げられる

どうやら無意識でため息をついていたらしい

それはよくなかった、気をつけなきゃと

彼女に急いで謝った。

メメは「別に。」とやや不満げな顔で向きを変える

私に背中を向けて、そのまま書類をいじり始めた

ヒ「そんで？」

『…ん？"そんで？"って？』

ヒ「いやだからっ！、なんかあったんだろ」

背中を向けてまるで興味ないですよ風に装う彼女の、

頭の上にあるかわいらしい猫耳が

彼女の体の向きに反してしっかり私のほうに向いているのが見えた