神代先輩に落とされた(物理) (ページ8)

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錬金術師の誘いページ8

『はあ…うっさ。2人して何？叫びに来たんなら他を当たって』

すると2人は顔を見合わせ、たちまちにっこり笑ってドアによってきた。

「取り敢えずだな、そこのチェーンを外してくれ！」

「ふふ、君がタメ口を聞く姿が見れるなんて…新鮮だねえ」

………ダメだこりゃ。

『嫌です。開けて欲しいなら要件をどうぞ』

腕を掴まれそうになり、サッと身を翻す。この人達は本当に、油断の隙も与えてこない。

「何故オレ達がここに来たのか！！！分かるか！！！？？？」

『いや知らないから聞いてんの。アホ天馬』

「アホ……？！」

「まあまあ。僕らは君にこれを渡しに来たんだ」

そう言って先輩の手元から現れたのは、紙切れ…否、フェニランのチケットだった。

『…え？フェニラン…？』

「フフン、何を隠そう、オレ達はここでバイトをしているのだ！！！お前、フェニー君がs…むぐっ！」

『はいはい、ぶっ飛ばすよ』

「物騒だねえ。僕はもちろん、寧々や1人だけれど宮女の子も居るよ。」

何気にドヤ顔な司をスルーしつつ、先輩が補足した。

「…まあ、詳しくは類に聞くことだな！では！！」

そう言って司は一目散に走り去っていった。

『あ、ちょ…！』

大嫌いな先輩と2人きりになり、途端に気まずい空気が充満する。もっとも、相手の方はあまり感じていないようだが。

「それじゃ、明日の朝9時にまた迎えに来る。楽しみにしているよ」

そう言い、先輩は帰っていった。何が楽しみなのかはよくわからないが、明日の朝9時に出かける準備をしておかないといけないらしい。

なぜ先輩がこんなに私に執着するのか。それがたった一つの心残りだった。

♪……………♪

ついに。ついに来てしまった。午前九時。AM9:00:00になった途端に呼び鈴が鳴った。滅茶苦茶綺麗に9時じゃん。

恐怖に駆られつつも、ドアノブに手をかける。鍵を開けた途端、私がドアを押すより先に開いたもんだから、思わず肩を震わせた。

「二瀬くん。おはよう」

『……おはようございます』

万遍の笑みの先輩が珍しくオシャレな私服で姿を現した。これはもしや。そう思ったのも束の間、先輩は説明を始めた。

「今日はね、ショーの練習の休みを取ったんだ。せっかくの休みだし、二瀬くんとデートを楽しみたくねえ。」

『………？？？』

デート。…デート？先輩の言葉が頭の中で永遠にループする。

「さあ、行こうか」と先輩が手を差し出す。その時脳死していた私は何も考えず、大嫌いな先輩の手を取るのだった。