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46 幼馴染から ページ46
「焦凍……私…」
「A、取り敢えずあそこで雨宿りしよう」
「うん…」
近くの寂れたバス停には有難いことに屋根付きの休憩所があったのでそこに座った。
休憩所の空間は周りと遮断されているようで、雨の音が遠く聞こえた。
「何も言わず連れ出しちまって悪ぃ」
焦凍は髪の先から雫を垂らしながら言った。
「ううん、正直嬉しかった。でも早川君のおかげで分かったこともあるし」
「分かったこと…？」
「焦凍に触られるのは嫌じゃないってこと」
「そう…か…」
焦凍は私の言葉に驚いたのか、一瞬目を見開きまたいつもの涼しげな表情に戻った。
「この雨がずっと続けばいいのにな」
焦凍は屋根の先の地面に落ちては弾けるを繰り返す雨を見つめて言った。
「どうして？」
「そうすればお前とずっと一緒にいられる」
少しこちらを振り向き、優しい瞳に見つめられ心の奥が苦しくなった。
でもその苦しさは不思議と心地良かった。
「雨が降っていなくたって私はずっと焦凍の傍に居るよ」
「A、結婚しよう」
「んえええっと、それは色々順番を抜かし過ぎてる気がするよ…」
真剣な表情でいう焦凍に少し困惑しながらも嬉しさで笑ってしまう。
「じゃあA、俺と付き合ってくれ」
「うん、喜んで」
今日この日、私の幼馴染は私の好きな人になりました。
Fin
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作者名：薫 | 作成日時：2020年8月12日 1時
