44 危険なイケメン ページ44
「あ、明保野さん！」
待ち合わせ場所に向かう途中で例の普通科イケメンとばったり出くわした。
「えと早川君」
「そう！名前知っててくれたんだね、嬉しい」
「う、うん それで何の用？」
「廊下じゃなんだし、国語準備室行こ」
そう言うと早川君は私の手首を掴み小走りで国語準備室へ向かった。
「着いた、どうぞ」
「あ、ありがとう」
早川君はドアを開け私を先に入れてくれた。
なるほどこれがイケメンか…などと感心していると「カチャッ」というドアの施錠音に思考が止まった。
「早川君…鍵かける必要あるの…？」
「うん大事な話だからね」
そういうと早川君はにっこりと笑いじりじりと私との距離を縮めて行った。
国語準備室は薄暗く、沢山の分厚い本が四方八方に積まれ、使われていない机が乱雑に置かれていた。
距離を縮めようとする早川君から逃れようと後ずさりするも私の太ももあたりが置かれていた机と衝突し机の足が床と擦れ、乾いた音が響いた。
「行き止まりだね」
早川君は相も変わらずにやにやと近付いてくる。
「何？やめてよ…私の個性知ってるでしょ？吹っ飛ばすよ…！」
「ふーん…Aちゃんの個性は善良な生徒を傷付ける為にあったんだ？」
「善良？馬鹿じゃないの…！…え、なん…で」
手のひらを早川君に向けようとした途端、私の身体は何もかも言う事を効かなくなった。
「僕の個性だよ♡ 特定の条件を満たせば君みたいな強力な個性を持ってても無意味なんだよね〜」
早川君は私の動かすことの出来ない手を強く握った。
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作者名：薫 | 作成日時：2020年8月12日 1時
