27 マセガキ ページ27
USJ事件の数日後、雄英がヴィラン襲撃を許したことへの世間のバッシングもやっと落ち着いて来た頃…。
「おはよー」
「おはよう」
いつも通り家を出ると待ってくれている焦凍に挨拶をし、二人で並んで歩き出した。
「今日の5時間目って何だったか覚えてるか？」
「5時間目？えっとねーあっ…」
5時間目の教科を言おうとすると、前を歩いていた水色の制服を着た幼稚園生の男の子が派手に転んだ。
「大丈夫？！」
「うう…。」
慌てて駆け寄り起こさせると、男の子は今にも泣き出しそうだがグッと堪えていた。
「泣かないで偉いね…！待ってて今絆創膏を──」
「あるぞ」
カバンを漁る前に焦凍が後ろから絆創膏を差し出してくれた。
「ありがと、今からお姉さんが魔法かけて痛みなんてぶっ飛ばしちゃうからね〜」
「魔法…？」
男の子が涙目でこちらに顔を覗かせる。
「A、魔法なんて使えるのか…？」
「ごめん焦凍黙ってて…。いくよ〜」
手の平を男の子が怪我をした膝に当て、
「痛いの痛いの飛んで行けー」
と言いながら空へと手を振る。
「どう？魔法きいた？！」
「うーん、ちょっとよく分からないけど、お姉さん可愛いから痛くなくなった気がする…。」
「そ、そっか…！」
「だから、これはお礼！」
そう言うと男の子は私の頬に軽くキスをした。
「んえっ！」
「魔法使いのお姉さんありがとう〜！」
そう言うと男の子は元気そうに走って行った。
「キスされちゃったよ…、最近の子って凄いね」
「アイツ、絶対そんなに痛くなかっただろ…」
「まあまあ、元気ならそれでいいよ」
焦凍は何やら曇った表情を浮かべていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：薫 | 作成日時：2020年8月12日 1時
