25 USJ IV ページ25
恐怖に打ちのめされたヴィランは呆気なく焦凍の質問に答え始めた。
「要はオールマイト殺しを実行するのはあの危なそうな奴らだけってことか」
「そのオールマイトを殺せるかもしれないっていう輩が今相澤先生と戦ってる…、いくら相澤先生が強くてもやっぱり心配だ…」
「俺らも広場へ向かおう」
「うん…」
「大丈夫か、どこか痛むのか？」
「ううん、何でもない！」
焦凍に助けられっぱなしな事を気に病んでいる場合じゃない。
この緊張事態、今自分が何をすべきかを見極めなければ。
中央の広場では既にオールマイトが駆けつけて来た直後だった。
オールマイトが現れた事でUSJ内の雰囲気はがらりと変わったのが肌で感じられた。
「っ…！凄い爆風、オールマイトやっぱり凄い！」
「いや、待て…！！」
オールマイトが脳無にバックドロップを仕掛けるも、黒いモヤのワープで逆にオールマイトの体が脳無に掴まれていた。
「オールマイトッッ！！」
咄嗟に焦凍が氷結を出し脳無の身体を凍らせた所で私が念動力で身体を破壊する。
しかし、
「脳無」
ヴィランの頭と思われる手の人が一言呼ぶと脳無は呻き声をあげ始めた。
「身体が割れてるのに動いてる…！」
脳無の千切れた腕や足からはウネウネと筋繊維が伸び始め、あっという間に元の体に再生してしまった。
「個性が一つだけじゃない…！焦凍みたいなハイブリッドってこと？」
「俺をあんなのと一緒にするな…」
「別にそれだけとは言ってないだろ──これは超再生だな」
手のヴィランが自慢げに脳無の個性を説明し始めた。
わざわざそんな相手の得になるようなことをしていいのか…？
「3対6だ」
「モヤの弱点はかっちゃんが暴いた！」
「俺らでオールマイトのサポートすりゃ撃退出来る！」
「駄目だ！逃げなさい」
「さっきのは俺とAがサポートに入らなきゃヤバかったでしょ」
「うん…！」
いくらオールマイトでも相手の個性は中々に厄介だ。
それにオールマイトの力に匹敵するあの脳無とかいう奴は得にヤバそう…。
「それはそれだ…2人ともありがとな」
オールマイトは拳を握り直す。
「──しかし大丈夫、プロの本気を見ていなさい！」
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作者名：薫 | 作成日時：2020年8月12日 1時
