10話 ページ10
会議や夕食を終えて、夜になる。
「A、ここだよ」
新しい部屋に案内された。
今日からここが、なかむと、私の部屋。
『…わ…広い…凄い…!』
思わず笑みが溢れた。なかむは私のそんな様子を見て愛おしそうに微笑む。
「気に入ってくれたみたいで良かった!」
綺麗な装飾が施された家具。
キッチンにバスルーム、トイレなども諸々完備しているらしい。部屋というか、もはや家だ。
「あ…ベッド…勝手に一つにしちゃった。嫌だったら二つ用意させるけど、どうする?」
『同じでいいよ?』
「あっ、…そ、そう?」
なぜか真っ赤に染まるなかむ。
「お風呂…先入っていいよ。行ってらっしゃい」
『うん。ありがとう』
言葉に甘えて、先に入らせてもらう。
何度目か分からない感想だけど…お風呂もやっぱり広かった。
浴槽も、多分二人、三人入っても余裕がある。
『……ふぅ…』
あったまっていると、眠くなってきた。
瞼が落ちてくる。
…ここで寝たら危ない…
なんとか湯船からあがり、うつらうつらしながらも身体や髪を丁寧に洗い流す。
「A?だいじょぶ?…長くない?」
『……ん……ぅ……?』
「え、ちょっ、ほんとに大丈夫?寝てない?」
外からする彼の声をよそに、私は床に座り込む。
……前のお城と違って清潔だなぁ…
「___?__ッ、⁉︎」
___
なかむside
時計を見て、ふとAのお風呂が長くて心配になった。
もしかしたら本人にとってはこれがごく普通の長さなのかもしれないけど…でも万一寝ちゃってたりしたら、危ないもん。
お風呂の扉を軽くノックする。
「A?だいじょぶ?…長くない?」
『……ん……ぅ……?』
今にも寝そうなふわふわした声がかすかに聞こえた。
「え、ちょっ、ほんとに大丈夫?寝てない?」
慌ててもう一度声をかけるけど、今度は返事がない。
「A?…まさか寝ちゃった⁉︎入るよ⁉︎」
ごめん!と心の中で叫びながら扉を開けると、案の定こっくりこっくり船を漕いでいる。
「なーんでそんなに無防備なのかなぁ…」
濡れた髪と体、軽くほてった頬。
…頑張れ、理性保て、俺。
そっとバスローブに包み、抱き上げる。
ベッドまで運んで、揺り起こす。
『……んぅー…?……にゃ…かむ…?』
舌っ足らずに俺の名前を呼んで、はにかんだ。
…君ってば、どんどん俺を夢中にさせるんだから…
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黒灰白有無%(プロフ) - 完結おめでとうございます!夢主ちゃんも最強w最強同士、可愛い同士お幸せに〜、溺愛具合も好きです笑、本当に大好きな作品、作者様なので最後まで見れて嬉しいです‼︎本当にお疲れ様でした〜! (2023年1月22日 2時) (レス) @page47 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 勘違いして辿々しい説明をする流れがとても好き…!!もちろん今までのお話も大好きです! (2023年1月9日 16時) (レス) @page41 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
詩舞(プロフ) - 初コメ失礼します!スパイから見させてもらってました!文才ありすぎて尊敬します!今はリクエストありませんが、もしあったらその時またお願いします🙂 (2023年1月6日 17時) (レス) @page36 id: b0ae3107b7 (このIDを非表示/違反報告)
萌木(プロフ) - 関係全くないけど話選ぶとこでタイトルの下にアニメイトの広告出てきて且つそこにあった画像が文藝白尾だったっていうね...。 (2023年1月6日 10時) (レス) @page36 id: e13a9a1264 (このIDを非表示/違反報告)
らむね☆(プロフ) - 葡萄ゼリーさん» 覚えてますよ〜🤗スパイが完結したときにコメントくださってましたよね!番外編集の方にリクエストのお話を書いてきたので、ぜひ! (2023年1月5日 11時) (レス) id: d37cd4c15f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむね☆ | 作成日時:2022年11月19日 16時