9話 ページ9
『…おんなじお部屋？』
「そう。二人用の部屋、用意できたらしいから」
なかむは私を抱き寄せて、幸せそうに肩に顔を埋めてくる。
「嫌…？」
『全然』
「良かった」
それじゃあ、となかむは執務室に向かう。お仕事だ。
私が今からやることと言えば…
『よろしくお願いします』
「はーい」
本日はきりやんのところでテーブルマナーの勉強。自分の仕事もあるのに、幹部はみんな私のために時間を作って付き合ってくれる。
午後になったら、今日は初めて訓練場にお邪魔する。
ドレス…汚れるかな。…うーん、まぁ大丈夫か。
訓練場に入ると、一般兵たちみんなが驚いた目で固まった後、慌てて敬礼をした。
「王女殿下、こんなところへ何をなさりに…？」
『いろいろと事情があって、魔法のコントロールが苦手なのです。でも、先の…国王陛下と王妃殿下が暗殺されてから、自衛の大切さを実感しました。ですから、…端的に言えば、魔法の練習です』
知らない人に話しかけられるのには慣れていなかったけど、なんとか落ち着いて答えられた。
気を遣わせてしまったらしく、気づけば兵士がはけて、遠巻きに私を見ている。
…気にせずに練習しよう。
目を閉じる。抑えていた魔力を、ゆっくり解放していく。
ふわっと髪が浮き上がる。
魔力は全て解放はしないでおく。
まずは火球を作ってみることにした。
ぼっと手のひらの間に火の球が現れる。…のだけれど。
どんどんと大きくなって、私の手に負えなくなっていく。
『…まずい、かも』
急いで火球をかき消す。
何度かそんなことを繰り返していると、感覚が掴めてきた。
…うん、上達したんじゃない？
「いたいた。A！」
なかむの声がして、振り返る。
兵士たちが敬礼する中、なかむがにこにこと歩いてきていた。
「練習？偉いね」
『ちょっとは魔法をコントロールする感覚が分かってきた気がする』
嬉しくて口元が緩む。
「あぁもう、俺のお姫様はほんとに可愛いんだから」
ぼそっと、兵士たちに聞こえないようにそう言って、私の手を引いた。
「ちょっと、来てほしいんだ。…幹部と会議をしてるんだけど、Aにも出てほしくて」
『分かった』
場所を空けてくれていた兵士たちにお礼を告げてから、訓練場を後にした。
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黒灰白有無％(プロフ) - 完結おめでとうございます!夢主ちゃんも最強w最強同士、可愛い同士お幸せに〜、溺愛具合も好きです笑、本当に大好きな作品、作者様なので最後まで見れて嬉しいです‼︎本当にお疲れ様でした〜！ (2023年1月22日 2時) (
レス) @page47 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 勘違いして辿々しい説明をする流れがとても好き…！！もちろん今までのお話も大好きです！ (2023年1月9日 16時) (レス) @page41 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
詩舞(プロフ) - 初コメ失礼します！スパイから見させてもらってました！文才ありすぎて尊敬します！今はリクエストありませんが、もしあったらその時またお願いします🙂 (2023年1月6日 17時) (レス) @page36 id: b0ae3107b7 (このIDを非表示/違反報告)
萌木(プロフ) - 関係全くないけど話選ぶとこでタイトルの下にアニメイトの広告出てきて且つそこにあった画像が文藝白尾だったっていうね...。 (2023年1月6日 10時) (レス) @page36 id: e13a9a1264 (このIDを非表示/違反報告)
らむね☆(プロフ) - 葡萄ゼリーさん» 覚えてますよ〜🤗スパイが完結したときにコメントくださってましたよね！番外編集の方にリクエストのお話を書いてきたので、ぜひ！ (2023年1月5日 11時) (レス) id: d37cd4c15f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らむね☆ | 作成日時：2022年11月19日 16時
