3話 ページ3
「敬語、とりません?」
『そう、ですね』
にこにこしている。…人の笑顔を見たのは、一体いつぶりか。
「呼び方も…呼び捨てでいい?」
『うん。…私も、なかむって呼んでいい…?』
「もちろん!」
耳元の機械で何か合図を出したみたいで、五人、私やなかむと同じくらいの年齢に見える人たちが入ってきた。
その中の一人…黒髪に青い目の爽やかな人は、さっきここまで連れてきてくれた人だ。
「なかむ、上手くいってる〜?」
「ばっちり」
背の高い人と笑い合うなかむ。
「僕の国の幹部…仲間を紹介するね」
「どうも、第一戦闘部隊の隊長やってます、ぶるーくです」
「第二部隊隊長してます、シャークんです」
「第三部隊隊長、きりやんです」
「軍医長してます、きんときです」
「スマイルです。情報管理部部長してます」
『Aです。よろしくお願いします』
「こいつらにも敬語いらないから」
なかむの屈託のない笑顔。
『じゃあ、私のことも王女扱いしなくて大丈夫です』
そう告げるときんときが口を開いた。
「…あのさ、君、ほんとに、王女?」
思わぬ言葉に固まる。
「ここに着いてから、明らかに挙動がおかしい。マナーがなってない。一国の王女とは思えない」
『っっ…』
恥ずかしい。
やっぱり、ふさわしくない。
何、舞い上がって調子に乗ってたんだろう。これじゃ、せっかく選んでくれたなかむの迷惑にしかならない。最初の予想通り、邪魔になるだけだ。
「まさかと思うけど、変装した他国のスパイとかないよな」
ゆっくりと、シャークんがナイフを構えた。
臨戦体勢。
怖くなって、夢中でなかむの背中に隠れ、彼の片腕を掴む。手が震える。
自然と、普段抑えている魔力が洩れ始めた。
『ちがっ…スパイなんかじゃ、』
言葉がうまく続かない。
境遇を話す?でも、それでなかむやみんなに引かれたら?
私の居場所はもうなくなってしまう。
でも、このまま黙ってたら、殺されるかも、
ぐるぐると思考が渦巻く。
どうしよう、
「…ちょ…っと待った…!」
なかむが慌てたように私を抱きしめて、よしよしと背中をさすられた。
「落ち着いて、ごめんね、びっくりしたね」
少しずつ落ち着いてくると、周りを見る余裕が出来た。
書類が飛び散って、みんなの髪や服装も乱れている。私となかむを中心にして円を書くみたいに、家具が動いていた。
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黒灰白有無%(プロフ) - 完結おめでとうございます!夢主ちゃんも最強w最強同士、可愛い同士お幸せに〜、溺愛具合も好きです笑、本当に大好きな作品、作者様なので最後まで見れて嬉しいです‼︎本当にお疲れ様でした〜! (2023年1月22日 2時) (レス) @page47 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 勘違いして辿々しい説明をする流れがとても好き…!!もちろん今までのお話も大好きです! (2023年1月9日 16時) (レス) @page41 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
詩舞(プロフ) - 初コメ失礼します!スパイから見させてもらってました!文才ありすぎて尊敬します!今はリクエストありませんが、もしあったらその時またお願いします🙂 (2023年1月6日 17時) (レス) @page36 id: b0ae3107b7 (このIDを非表示/違反報告)
萌木(プロフ) - 関係全くないけど話選ぶとこでタイトルの下にアニメイトの広告出てきて且つそこにあった画像が文藝白尾だったっていうね...。 (2023年1月6日 10時) (レス) @page36 id: e13a9a1264 (このIDを非表示/違反報告)
らむね☆(プロフ) - 葡萄ゼリーさん» 覚えてますよ〜🤗スパイが完結したときにコメントくださってましたよね!番外編集の方にリクエストのお話を書いてきたので、ぜひ! (2023年1月5日 11時) (レス) id: d37cd4c15f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむね☆ | 作成日時:2022年11月19日 16時