【WT】婚約者が最強なんて聞いてない【nkm】

14話 ページ14

お母様とお父様の居場所と、そこまでの行き方を兵に尋ねながら私たちは急ぐ。


魔力を盗られたみんなが今頼れるのは、私だけ。


そう考えると同時にハッとして、立ち止まる。



みんなが不思議そうにこっちを見た。



『私までのこのこ出て行って、同じように魔力を盗られたら意味ない…よね』


「あ、そっか」



ぽん、となかむが手を打つ。



「じゃあ、隠れてて奇襲できる…？俺らはまだAを見つけてない体(てい)で行くから」


『…うん。やってみる』



正直、あの二人に反抗するのは慣れていなくて、なんとなく、怖い。



でも、大切な人たちのためなら、頑張れる。



廊下の窓を開けて、外に飛び出す。なかむたちは中から行って…



私が両親のいる部屋の窓際に潜むと同時に、中からコンコンとノックの音。


「失礼します」


なかむたちが入ってきて、驚いたお母様とお父様が立ち上がり、こっちに背を向ける。


お母様の机には、ロケットペンダントがある。もしかして、あれかな…？


なかむと両親が口論を繰り広げる最中、スマイルと目が合った。そしてスマイルはそのまま、視線でロケットペンダントを示してくれる。


やっぱり、あれだ…‼︎



一気に窓を開いて、机からロケットペンダントを取った。


目を見開いてこっちを振り向く二人。



『なかむっ…』


両親の手を躱し五人のところに逃げる。なかむにロケットペンダントを渡すと、なかむはそれを開いた。


ぼんやりとペンダントが発光し、数秒後収まる。



「…戻った」


にっと笑うなかむ達。


良かった…上手くいった。



「な、なんなの貴方達…！第一、なんで貴方が外に出てるのよ！手錠は？檻は⁉︎」


ヒステリックなお母様。


なかむは私を守るように前に出る。


「我が国の未来の王妃を連れ去ったんだ。いくら両親といえども、本人の望んでいない帰国を、あんな形でさせるなんて許されない。わかっていますよね」


堂々と言い放つなかむに、お父様は顔を歪める。


「クソッ…戦争でもなんでもしてやる！絶対にへーべーは手放さんぞ！」


『…へーべー』


初めて聞く呼び名だ。

でもなんとなく、言いたいことは分かってしまった。


「では、これで。二度と、このようなことがないようにしてください」


なかむはそう言って、私の手を引く。



わなわな震える二人を置いて、私たちはジェンティー王国の城を後にした。






　

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