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夏も終わり、秋に差し掛かった今。時の流れが嘘のように倍速で流れていく。その証拠に、ついこの間までは暑かった夜も、今ではほんの少し肌寒い。
東京とはいえど、駅前などの明るさはなく、マンションの灯りや街灯の灯りだけ。真っ暗でもなければ眩しくもない。丁度いいこの感じに少し感傷に浸ってしまう。
なんだか無音も寂しくなってきた。ポケットから取り出したのはイヤホンで、世界から遮断するように耳を塞ぐ。流すのはもちろん浦島坂田船とセンラくんのソロ曲。不思議と口角も上がってきた。人知れずニヤニヤするその姿は、傍から見たらただの不審者だろう。
そのまま歩いていると、ついたのは最寄りのコンビニ。店内に入れば、ニット帽深く被る系の男が居るような、少しチャラチャラとした男女グループが屯っていた。
きゃーおばさんそーゆーの怖いよぉぉ……
なんて思いながら、カップ麺のコーナーに行き、てきとーに3つほどカゴに入れると、特になにか考えるわけでもなく、酒を3缶取り出す。お酒と言ったらつまみだよねぇなんて、ナッツ類を2袋とり、カゴの中を覗いた。
え、なにこのクソみたいな組み合わせ。
さすがの自分でも呆れる。しゃーないなーと思いながら、野菜やサラダチキンなどを入れて会計へと進む。
レジをしている間、ふと店内を見渡すとさっきまでの陽キャ集団は居なくなっていて、お客は私だけになっていた。
なんか一人って新鮮だなぁなんて、もう一度レジの方に目を向けると、肩にポンっと手を置かれた。
突然のことにﾋﾞｸｯｯｯと肩を揺らすと、背中の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「…………なにしてんの？」
ゆっくり顔を回せば、そこには微笑んだうらたさんが立っていた。
待ってくださいうらたさん目が笑ってないです目がぁ！！！！
「ｱ………ｵﾋｻｼﾌﾞﾘﾃﾞｽ………」
手元をガタガタと震わせながら支払いを済ませ、袋を受け取る。そのままサッと走って逃げようかと思ったけど、既にうらたさんは私の右腕を掴んでおり、絶対逃さないオーラを醸し出していた。
「センラに通報されるか、俺に着いてくるかどっちがいい？」
相変わらずニコニコしたままのうらたさん。
知ってますかうらたさん。その質問はもはや選択肢じゃないんですよね。えぇ！逃げるという選択肢はないんですね！！！！！！
「着いていきます………」
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作者名：カエデ | 作成日時：2023年9月17日 9時
