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近くのたまたま目に入ったBARに入ると、客数はほんの1人や2人程度しか居なかった。
時間も時間なのだろう。
特に何か考えるわけでもなくカウンター席に座ると、早速ワインをオーダーする。
普段ならカクテルなんか頼むが、今日はなんとなくワイン一本で行きたい気分だったのだ。
落ち着いた雰囲気のお店に、少し荒ていた私の感情も次第に穏やかになっていく。
どうせ明日は休日なんだし沢山呑んじゃお
普段なら考えないこともなんだか今日は考えてしまう日だった。
「ん〜………」
出来上がっている。自分でも分かるほどだ。
全身はぽかぽかして暖かいし、顔はもはや熱い。視界はボヤボヤするし、頭もふわふわする。喋ろうとしてもうまく発音ができない。
理性は完全に崩壊してないのがせめてもの救いだろうか。
「大丈夫ですか？」
「んぇ……？」
声を掛けられ、ゆっくり隣を向くと先程の男性がそこに座っていた。
「ぇ、なんでぇ？？」
「見かけたんで入ってきちゃいました」
そう言って笑う男性。先程までの酔いは覚めているのだろうか、さっきとは立場が逆になっている気がする。
「お酒好きなんですか？」
「……ぅん………好き………」
きっとシラフじゃこんな会話する前に逃げているだろう。しかし、泥酔した頭じゃそんなことも考えられず、言われたから返すとしか考えられなかった。
「僕もお酒好きですよ」
男性はそういうも、手を私の太ももに置いた。泥酔してても戸惑うことは出来たため、え？？？と思いつつ手を退かして、なんとなく気分を変えたくてグラスに入ったワインを一気する。
しかし、男性は諦めが悪いらしく今度は私の腰に手を回してきた。
それが気持ち悪くて吐きそうになる。しかし、こんなところで吐いてはダメだと、なけなしの理性がそう叫ぶ。
勘違いだと思いたいが、心無しか先程よりも椅子が寄せられ距離が近くなっている気もした。
もう………帰らなきゃ………これ以上は…………
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作者名：カエデ | 作成日時：2023年9月17日 9時
