時間 ページ26
夕ご飯を食べ終わって2人でリビングで寛いでいると、センラくんが突然口を開いた。
「仕事はもうええの？この後がしんどいんやったらやってきてたほうがええんやない？」
「あぁ〜……」
本音を言うと、今からでもやり始めないと終わらないギリギリの状況である。
しかし、私の片手をにぎにぎしたり、肩にもたれかかってきたり、髪の毛を弄り倒して遊んでくるおもくそかわかわなセンラくんを置いてすることなんてこの世にあるのだうか。
いやない、絶対にない。
「今はさ、2人で居たいじゃん？そーゆーこと」
「………何急に可愛いこというなよびっくりしたわ」
胸に手を当て、大きく目を開くセンラくん。センラくんの戸惑い顔なんてそうそうに見られるものじゃないから、なんだか勝った気分になる。
恐らく感情が限界突破したセンラくんは、おもむろに私を抱くとありえない力で締めだした。
「ぁ゙っちょっっっじぬ゙っっ」
「〜〜〜っっっっ！！！！知らんもんAが悪いんやもん！！！！！」
気が済んだのか、すっと力を抜くセンラくん。暫く締められていた私は少し息が止まっていたこともあり、ゆっくり呼吸を整える。
その間も絶対私を離さず、抱き締めながら私の肩口に顔を埋めるセンラくん。愛おしい。
「俺今日帰りたない」
「明日朝から仕事でしょ」
「Aとずっと一緒にいたい」
「それは私もだよ」
「LIVE……来てくれるんよな………？？？」
「行くよ」
「絶対やぞ。途中で仕事入ったとか許さへんからな」
「大丈夫。会いに行くよ」
好きが限界突破したせいか、不安になりだしたセンラくん。やっぱ可愛い。普段不安な感情を表に出さない分、こうしてチラッと見えた日は絶対見過ごしてはならないのだ。
誰も知らない、私だけが知っているセンラくん。なんて、そんなふうに考えちゃうのは私の細やかな独占欲だったり。
あぁ誰にも渡したくないな
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作者名：カエデ | 作成日時：2023年9月17日 9時
