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「……終わったぁぁ………」
押し付けられた資料を上司に渡しに行って、席に着くと一気に体の力が抜けたように項垂れる。時間をチラッと覗けば、時計の針は15時半を指していた。クソデカファイルにここまで時間を潰されるとは………と自身の仕事の遅さにも驚かされつつ、積まれた資料にも手をつける。
普通に考えて今から昨日の分の仕事をやって定時に帰るはキモすぎだろ
誰に向けてなのかも分からない文句を垂れつつ、背筋をもう一度伸ばした。
まぁ提出物じゃないから持ち帰ればいいか
時間を忘れ作業をしていると、ふと時計が目に入った。なんとなく体感1時間は過ぎている気はしていたから、時間を確認する。針が指していたのは18時。定時とは。
全身から血の気が引く感覚を覚えながら、ガタガタと震える指先で自宅にあるパソコンにファイルを送り込むと、そのままシャットダウンさせ、鞄を握る。
見たくないなと思いつつ、スマホを確認すれば、やはり鬼のように送られてきているLINE。苦笑いのままオフィスを出ると、爆速で社内を駆け回り出口を目指す。
「あ、あは」
会社のビルから出ると案の定、腕組みのまま壁にもたれかかって私を待つセンラくんが居た。
怒っているとか、そんな雰囲気は全く無いけど少々呆れられている気はする。
「お、遅くなりました……」
「………定時で上がれ言うたよな」
「………ｱｯｽ」
「…まぁええけど。なんとなく予想はしとったし。」
「ごめん」
「ええよ。帰ろか」
そう言うと、私の右手を握り車の方へ向かうセンラくん。場違いではあるかもしれないが、改めて良い彼氏を持ったなと実感させられる。
まぁ家帰っても仕事の続きだけど。
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作者名：カエデ | 作成日時：2023年9月17日 9時
