会社 ページ22
「おはようございます」
あれから一晩が経ち、私は再び会社に出勤した。なんとなくは予想していたが、自分のデスクを見れば大量のファイルやら資料やらが積まれていた。
ため息を吐きつつも、椅子に座るとファイルやら資料やらに目を通す。
こりゃ定時で完全には帰れんな。
一応今日もセンラくんは迎えに来てくれるらしい。暫くは家に泊まるからと、朝から何度も定時で会社を上がれと念を押された。
「頑張るかぁ」
この会社がブラックだってことも、上司との関係が良くないのも全部分かっていた。でも、それが分かっているうえで私は今ここで働いている。
やめようと思えばいくらでも辞められる。でも辞められない理由が私にはある。
「あ！Aさん！！おつかれさまです！！！昨日は彼氏さんとお楽しみでしたか？」
そう笑顔で話しかけてくるのは、容姿のかわりにデリカシーと性格を捨てた女、伊藤さん。
極度の面食いで、男性の特に容姿の整った人へのセンサーが異常に強いことで有名だ。
「お陰様でゆっくり休めましたよ」
「そうなんですね！！それは良かった！！！じゃあ、一つ頼みたいことがあるんですけど良いですか？この資料を終わらせて代わりに提出してほしいんです！！」
「え」
「もしかして無理だったりしますか？そんなことないですよね？
だって…………ねぇ？」
「あ、わ、分かりました…………」
「ちなみに今日中の提出だからよろしくお願いします！！」
「えっ！？！？」
そう言うと、こちらの有無を聞かずさっさとどこかに行ってしまう伊藤さん。本当に面倒な人に捕まったものだと、自分でも呆れる。
しかし、ここまで逆らえないのにも理由がある。
彼女には知られてしまっているのだ。
彼氏がセンラさんであるということを
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作者名：カエデ | 作成日時：2023年9月17日 9時
