【usss】優しくて頑張り屋さんな君は【snr】 (ページ16)

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一時は本当に焦った。音信不通になるなんて初めてのことだったから。

いくら仕事が忙しくてもスタンプは送ってくれたり、最低でも既読はつけてくれるA。それがここ1週間半は未読無視留守電話。

心配になって、家まで行った時には追い返されるどころかそもそも家に居ない始末。生憎位置情報は、お互い踏み込み過ぎない為にも交換はしていなかった為、居場所が全く持って掴めない状態。誘拐されているんじゃないかだとか、次第に不穏な考えで頭が埋め尽くされていった。

しかし、状況が変わるのは突然だった。
昨夜の何度目かの電話にて、やっとAの声を聴くことができた。

でも、聞こえてくる声は不穏なものではなく、至っていつもと何も変わらない明るいAだった。まるで、今までの俺のLINEは何も知らないと言うような。何も気づいていなかったと言うような。

その時点で大体どういうことなのかは予想をすることは出来た。そしてAの家に行き、改めてAを目の前にし、予想は確信へと固まった。

もとから細かったはずの体は更に薄くなってて、もはや病的。窶れた顔からはハリや艶は消えかけてて、キラキラしていて可愛らしかった瞳は光が消えて濁っていた。

家の中は綺麗だった。でも、逆を言えば綺麗すぎた。キッチンのシンクは水滴1つもついてないし、食器は1つもない。チラッと見えた冷蔵庫には食材は一つもない。ちょっど切れたとAはいうけど、それにしても無さすぎる。ゴミ箱の中には栄養機能食品やらカップラーメンやら。ここ数日間のAの生活が伺えた。

このままだと本格的にAが壊れてしまう。Aを助ける方法は、無理矢理にでも休ませるのみ。どうせ連勤して残業しての繰り返しだったんだろう。

どうにかしてAを休ませなければ……

強硬手段ではあるが、夜にAの仕事用のスマホを回収させてもらった。案の定、まだ日が昇るか昇らないかぐらいの早朝に、上司からの着信が入った。光の速さで勝手に電話に出させてもらい、半ば無理矢理ではあったが、1日仕事を休ませてもらった。ぐっすり寝てほしかった為、勝手ではあるけどスマホも開かさせてもらい、アラーム設定も切った。

あとはAが起きたときに詰めるのみ

少々手荒かもしれないが、今はこれぐらいが丁度いいだろう。