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「ケトルを作った人にノーベル賞あげたい。ほんとに。天才すぎる。スタンディングオベーション。」
初っ端何を言ってんだこいつとか思うかもしれないが許して欲しい。本当に心から思ってるので。
あ、そーゆーことじゃない？
じゃあ何？
1人で喋っててキモいって？
うるせぇわ
ちなみに今は何をしているかと言うと、まぁ分かるとは思うが、先程買ってきたカップ麺のお湯を沸かしているところだ。ほんとに楽すぎて泣けてくる。
さっきも危機一髪ではあったが、センラくんにバレることなく帰って来ることができた。あれから連絡もないから、恐らくあの3人も上手いこと誤魔化してくれているのだろう。
感謝ｧ…
いやぁ良いお友達を持ったなぁ！！なんて、良い気分で冷蔵庫から酒を取り出す。人は怠惰な生活こそに幸せを感じてしまうとはこういうことなんだろう。
カシュッっと音を立てる缶ビール。何回も何回も聞いてきた音なのに、いつも変わらずワクワクするこの感じ。もうお酒が飲めない頃には絶対戻れないし、戻りたくもない。
最初の一口を多めに飲み、はぁぁぁ〜なんて大きく息を吐いて天井を見上げる。幸福感。満たされるこの感じ。これでセンラくんが隣りに居たら完璧なのになぁ。
すると、どこからともなくブーブーブーと言うバイブ音と共に着信音が鳴り響いた。今だにスーツのポケットに入っていたスマホを取り出し確認をする。どうやら相手はセンラくんのようだ。
え？
センラくん？
冷や汗が伝う感覚がする。バレたか？と焦る気持ちをなんとか落ち着かせながら、応答ボタンをスライドさせる。
動揺しちゃだめだ。いつもと変わりなく。
「もしもしー？どうしたの？」
『あぁ夜遅くにごめんな？寝るとこだった？』
「ううん。まだだよ。大丈夫」
『そかそか。ならええんやけどさ。
あの、俺今たまたま4人で近くの居酒屋に行っとったんやけど、折角やしAの家行ってもええかな…？迷惑やったら全然ええんやけどさ。会いたいなって……！』
どうやらバレてはいないようだ。一安心。だが、ここでの問題はそこじゃない。センラくんが来たいと言っていることだ。私としては余裕で来てほしいし、会いたい。
でも、今来られてしまったら確実にバレて何か言われる。でも、玄関先で帰ってもらうなんてことは絶対にさせたくない。会いたいし、もはや泊まってってほしい。
この場において最も最善の選択………
これしかない……！！！
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作者名：カエデ | 作成日時：2023年9月17日 9時
