【usss】優しくて頑張り屋さんな君は【snr】 (ページ2)

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こんなもんか

心のなかで呟く。あれからどれぐらいの時間が経過したのだろうか。
書類の片付けなんて本当はとっくに終わっていた。しかし、ここの上司は性格が悪い率が高いのか謎に「ついでにこれも。あ、これも」とどんどん雑用作業を任され、気が付けば外は真っ暗。オフィス内も私以外誰も居なくなっていた。

センラくんに伝えたのは21時。時計を見れなくてもその時間からは大幅に遅れていることなんて考えなくても分かる。

恐る恐る視線を時計に移せば、時刻は既に23時を回っている。

想定内ではあったが、やはり2時間の遅れは笑えない。疲れてきってデスクに突っ伏していた体を鞭打ち、体を起こす。諸々の荷物を鞄に入れ、オフィスを後にした。

嫌われたかな、怒ってないかな、うんざりしてないかな、呆れられないかな

この状況で、疲弊しきった心身ということもあり、ネガティブ思考がとまらない。強い方だとは思っていたメンタルも、疲れ切った体を前にはゴミも同然、今にもボロボロに崩れてしまいそうだ。

「A」

会社を出て駐車場へ向かおうと数段の階段を降りようとした時、後ろの方から声をかけられた。声の主なんて、顔を見なくても分かる。私の大好きな、心の底から愛しいあの人だ。

「センラくん…………」

後ろを振り向けば、自動ドアの横の壁の前で立っているセンラくんがいた。センラくんは、ゆらゆらと手を軽く振ると、ゆっくりと私の方へ近寄った。
その表情は、凡そ2時間も待たされた人の顔ではなく、非常に柔らかく、優しい笑顔だった。
その笑顔に尚更申し訳無さが募り、直視することが出来ず斜め下に視線を落としてしまう。

「お仕事お疲れ様。大変やったね。帰ろか」

優しく頭を撫でられ、手を握られる。優しく握られたその手からは、センラくんの温もりが感じられた。夏の汗ばむ暑さの不快感なんて1つも感じることはなかった。