.2 服従と虚偽 ページ2
ｺﾞｼｺﾞｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼ
布と布が擦れる音が室内に響く。ただ只管に洗剤が着いた衣類を冷水に浸しながら擦る。
洗濯機不可の衣類はどうしてこうも面倒なのか。洗濯機には手洗い並みに優しく洗うモードはないのか。そもそも手洗いで洗濯する負荷を開発者は考えているのか。
くだらない文句が脳内に飛び交う。まぁ面倒なら負荷が大好きな本橋依央利に渡せばいい話だろう。
依央利を信頼していないだとかそんな話ではない。ただただ、たまには自分でやるのも悪くないなと思っただけである。
おまけに今依央利は買い出しでこの家には不在なのだ。そうなると、今はこの洗濯を自分で行える絶好のチャンスというわけだ。
すると、背後の扉が静かに開いた。
「おや？Aさん。こんなとこで洗濯ですか？」
「料理だよ」
「は？」
ｺﾞｼｺﾞｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼｺﾞｼ
冷水にずっとつけていたからか、指先が赤く冷えてくる。悴みながらも、腕は止めることはしない。
「ははは、ちょっと理解お兄さんは理解が出来ませんでした笑
もう一度言って頂けませんか？」
「料r「いや違うだろ！！！！！」
え？」
相変わらずキレのあるツッコミをあげる理解くん。清々しいったらありゃしない。
そんな話をしているその時だった。玄関の扉が開き、誰かが帰ってくる声が聞こえた。
「たっだいまぁ〜！！！」
依央利だ。
冷や汗が全身から滲み出る。急いで辺りを見渡して、洗濯物を隠す場所をさがす。しかし、綺麗に整えられたこの部屋に隠す場所なんて無かった。
「や、やばい」
「どうしたんですか？Aさん」
「いや分かるだろ、、⁉もし依央利に見つかったら、、、、、!!!!!」
分かりやすく顔が固まっていく草薙理解。
以前もこのようなことがあり、実際に被害にあったのは自分だと言うことを思い出したのだろうか。
「ん？二人とも何してるの？？」
「「ｱ゛ｯ゛ｯ゛ｯ゛」」
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作者名：カエデ | 作成日時：2023年4月18日 19時
