星を掴む話 ページ3
「な…んで、はぐらかすん？はぐらかさんといて」
続きやらんの？と聞かれたが無理やり手を止める。
力の差もあり少しぐらついたけど、彼はすぐに手を止めてくれた。
だって、はぐらかされる理由なんてないんだから。
「…逆になんで必死なん？期待した？」
「ッ違くて、はぐらかす理由があるなら教えて欲しいだけ」
「理由なんて無いけど」
アッサリ言われたその言葉はストンと胸に落ちる。
さっきみたいに引っかかる事もなく、モヤモヤする事もない。
どうやらこれは本音らしい。
私が昔から消極的で臆病だったからだろうか。
人の気持ちの変化には割と敏感な方だった。
だからこそ、わかる事なのかもしれない。
まぁ稀に本当に何考えてるのかわからない人もいるんだけど…
「…そう」
「まぁ、答えならあるけど」
「……答え？」
「そう、答え」
ニヤリ、と口角を上げた彼はいつもみたいに意地悪な顔をしている。
理由は無いけど答えはあるってどういう事？
何かの屁理屈？
それともまた何かを隠しているのか。
なんていろいろと考えていた時。
握られていた手を話されたかと思えば、その手は頭に回り彼の胸に頭を押し付けられた。
側から見れば私が抱きしめられているような、そんなシチュエーション。
頬が赤くなっていく。
体も熱くて、足なんて完全に震えていた。
抱きしめられているせいで宮くんの顔は見えない。
だけど耳に響いた声は緊張の色が混じった声で。
「…つまり、俺が菅野ちゃん………Aを、
好きやから誘ったっていったら？」
「は……」
クラスの女子の悲鳴が響いた。
それと同時に体育館の中がざわつく。
なんせ私が、この冴えない私が、宮くんに抱きしめられているのだ。
悲鳴を上げてしまうのも無理もない。
これはきっとアレだ、からかわれているんだ。
私があまりにも必死に理由を聞くから「相手してやろう」的な感じでからかってるんだ。
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作者名：咲 | 作成日時：2018年4月2日 17時
