星を掴む話【宮侑】 (ページ1)

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星を掴む話ページ1

ひょんなことから宮くんを好きになってしまった。

優しくされたから？名前を呼ばれたから？

よくわからないけどこのドキドキと変な汗は確実に彼を意識している証拠なわけで、彼の目に映る私は挙動不審に違いない。

背中に回る大きな手、もう片方の手は優しく握られていて、抱き寄せられているからだろう、距離が近い。

それと女子からの視線が痛い。

ごめんなさいごめんなさい。

「菅野ちゃん、ほんま不器用やなぁ」

「だ、だってダンスなんてしたこと無いし…」

「それは俺も一緒。せやけど菅野ちゃんよりは上手い自信あんで」

体育の授業でのことだった。

新しく入った「ダンス」という科目は男女でペアを作り、ダンスを覚えテストを受ける、という簡単なもの。

元々男子が苦手だった私にペアができるわけもなく、一人ポツンと立っていた時に声をかけてきたのが彼、宮侑だった。

ファクラブまである彼は、性格はいいとは言えない。

だけどその容姿の良さとバレーをしている姿は誰の心も掴むだろう。

実際ペアを作るとなった時は宮くんに女子が群がっていたし。

彼が私のもとに歩み寄ってきたとき殺意にも近い視線を向けられたのはいうまでも無い。

「…にしても、ダンス言うてもただ振り付け覚えて踊るだけやろ？やる意味無い気がする」

「一応目的はあるらしいけど…」

「目的？」

「うん。身体的能力とか技術的能力だけを見るだけやのうて、心理的なスキルの向上がなんとかって…」

「へぇ…随分詳しいんやね」

「うん。お父さんがが体育の先生なんだ」

見るからに熱血！って感じの人だし、勝ち負けには人一倍こだわるし、うるさいし、負けず嫌いだし、うるさいし、まさに根性だけで生きていますみたいな人なんだけどね？

一方母は消極的だ。

私は完全に母親譲りの正確なわけで、消極的な正確だ。

そして何をするにしても不器用で鈍臭い。

でも運動神経だけは父譲りで小さい頃から体育の成績だけは良かった。