episode59 ページ10
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いっちゃんも話し相手がいなくなったからか
スタジオにある鏡でサビの部分を踊り始める
…今がチャンス
「 ……っ、 」
足がすくんで進まない
自分の手がかすかに震えてる
反対の手でぎゅっと握りしめるけど
震えは止まりそうもない
樹「 …っはぁ…… 」
キュッと靴が擦れる音
トン、とステップを踏む時の軽い音
踊り終わって首を傾げて
何度も同じところを繰り返して踊ってる
…苦しみと希望の狭間を再現したダンス
樹「 …… 」
今なら話す、チャンスじゃん
水を飲んで振りの動画を見ながら
休憩してるいっちゃんのもとに向かう
「 い…ふ、じわらくん 」
樹「 …なに 」
「 …その大サビ前、踊りづらいですか…？ 」
樹「 …え、あ、うんまぁ 」
「 それだったら、 」
翔平「 A〜！壱馬さんの見てこれ、 」
北人「 ちょ、バカ翔平！ 」
こっちに話しかけてこようとした翔平は
吉野さんに捕まって来れなくなる
翔平も空気を読んだのか
ごめんなんにもない、と言って下がっていった
樹「 …で？ 」
「 …その大サビ前のところ
苦しみと希望の狭間を表情で表現するといいかも、 」
樹「 … 」
「 それと…こういうふうにすると、次の振りがスムーズにいくかも…… 」
いっちゃんの顔を見るとなんとも言えないような顔
わたしの顔を一切見ようとしない
「 あ…、ごめんなさ、 」
樹「 …なにそれ 」
「 え…… 」
今まで聞いた中で一番低い声
樹「 なんでそんなこと言うわけ？ 」
「 わ、わたしは…いっちゃんが悩んでると思って…… 」
次の瞬間、グイッと私の体が揺れる
目の前の苦しそうないっちゃんの表情
久しぶりに彼と目が合ったのに
樹「 Aに俺の何がわかんだよ……ッ！ 」
「 っ、 」
生まれてはじめて胸ぐらを掴まれた
それが大好きな人だなんて想像もしなかった
…なんで、こうなっちゃうの
北人「 おい樹！ 」
樹「 …あ、ごめ…… 」
いっちゃんの手が離れるとまた目が合う
その時わたしの瞳から溢れてくる涙
「 …っ！ 」
翔平「 A！ 」
怖くて、いっちゃんの顔が見れなくて、
わたしはスタジオを飛び出して誰もいない空きスタジオでひたすら泣いた
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chess(プロフ) - ななさん» 秒で見てくれてるなんて…！嬉しすぎますありがとうございます(> <) (2021年3月6日 22時) (
レス) id: 07a190f439 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 続きが気になりすぎて、更新されたら秒で見ちゃってます（ ; ; ）これからも更新楽しみにしてます！！頑張ってください^_^ (2021年3月6日 19時) (レス) id: 81f9eeaa59 (このIDを非表示/違反報告)
chess(プロフ) - 愛桜さん» ありがとうございます！頑張ります〜＾＾ (2021年3月4日 16時) (レス) id: 07a190f439 (このIDを非表示/違反報告)
愛桜(プロフ) - 続きが気になりました。更新楽しみにしてます！ (2021年3月4日 2時) (レス) id: 50d985a3f8 (このIDを非表示/違反報告)
chess(プロフ) - matsuhi1214さん» ありがとうございます！嬉しいです！＾＾ (2021年3月3日 15時) (レス) id: 07a190f439 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chess
| 作成日時：2021年3月2日 22時
