世界が変わっても君と (ページ45)

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episode45 ページ45

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あれからどのくらい抱きしめられてたのか分からない。

1分かもしれないし、10分かもしれない。

でも私には長く感じられた。

「 …か、ずまくん…… 」

壱馬「泣き止んだ？」

「 …はい、ごめんなさい…
肩濡らしちゃって…クリーニング代出します。」

壱馬「全然ええから気にせんで。」

私が泣き止むまでずっと抱きしめてくれた。

元恋人ってだけなのに

彼はすごく私に優しくしてくれる。

現に今も壱馬くんはずっと心配そうに見てる。

壱馬「それにさっきからちょいちょい敬語混ざってんで？」

「いて、」

突然デコピン。

そうだ、敬語使ったらデコピンって言われてたな。

でもそれになんだかクスッと笑えてきた。

壱馬くんなりの慰めなのかもしれない。

壱馬「 …こんな時に言うのずるいって思われてもしゃあないんやけどさ」

「 …うん」

壱馬「俺、別れてからずっと
Aのこと忘れられんくてさ…… 」

このあとの壱馬くんが言うこと、分かる気がする。

けどどこかそう思いたくない私がいて、

壱馬「俺、今でもAが好きだよ
だからもう一度俺と付き合って欲しい」

昔もこんな光景を見た。

デジャブかと思ったけどそれもそうだ、

私は一度壱馬くんに告白されて付き合っていた。

「わたし…… 」

壱馬「樹のこと簡単に忘れられんのは分かってる。だから返事はゆっくりでいいから。」

「 …わかった」

壱馬「絶対振り向かせるから覚悟しとけよ？」

いつもと少し違う口調にドキッとしたけど

この胸の違和感が壱馬くんのせいなのか、

いっちゃんのせいなのかそれは分からなかった。

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