世界が変わっても君と (ページ40)

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勇征はこのあと用事があるらしくて

壱馬くんに挨拶をしてスタジオを出ていった。

「ていうか
わたし壱馬くんと何も約束してないよね…？」

壱馬「ん？してないよ」

「だったら慧人くんのお誘い… 」

壱馬「俺はAと二人で出かけたいから」

だめ？なんて可愛く聞いてくるもんだから

普段とのギャップが凄い。

真剣に見つめられる瞳に耐えられなくて

視線を逸らすと両手で頬を包まれる。

熱い。触れられてる部分が熱を持っていく。

壱馬「じゃあエントランスで待ってるな」

「う、うん… 」

壱馬「ん、いいこ」

頬から手が離れて今度は頭にポン、と乗る。

壱馬くんってよく私の頭を撫でて

テレビの前では見せないような優しい笑顔を見せる。

…まるで付き合っていた頃に戻ったみたいに。

頭に触れていた手を離してスタジオを出ていく壱馬くん。

なんでこんなドキドキしてんのわたし。

頬を熱いし、ふわふわする。

自分の手の甲で熱を持った頬を冷やすけど、

収まる気配はない。

北人「 Aちゃん」

「ふぇっ？！」

突然背後で名前を呼ばれて

振り向くとキラキラ眩しい笑顔の吉野さん。

確かいっちゃんと仲いい先輩

北人「ごめんびびらせるつもりなかった。笑」

「こちらこそごめんなさい…！
まさか話しかけられると思ってなかったので… 」

北人「きちんと話すのは初めてだよね、よろしく」

大きなぱっちり二重に泣きボクロ。

誰もが認める圧倒的イケメンってやつですね。

そんな人に今手を差し出されて

握手を求められていますどうしましょう。

北人「ほら手出して、握手！」

「あ、はい」

ぎゅっと強く握られた手。

その手を見つめているとクスクス上から笑い声が。

北人「俺の手なんかついてるー？」

「あ、いやそういうわけじゃ、」

北人「ふはっ、Aちゃん面白い。
樹と翔平が可愛がるわけだなぁ～～～」

可愛がる…いっちゃんが…？

翔平は私を甘やかしてくれるけど

いっちゃんには意地悪された記憶しかない。

…まぁそういうとこも含めて好きな私は

ちょっとおかしいのかもしれないけど。

北人「なんかあったら相談乗るよ、連絡して」

ポンと連絡先が書かれた紙を渡されて

吉野さんはスタジオを後にした。

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