世界が変わっても君と (ページ38)

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episode38 ページ38

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あの後、湊さんと合流して用件を聞けば

「HIROさんのところ行ってきて！」と言われて

HIROさんの部屋の前。

…私なんか怒られるようなことしたっけ。

深呼吸をしてコンコンコンと扉をノックする。

中から軽快にはーい、と聞こえたから

失礼しますと部屋の中に入れば、

中には当然HIROさん。

「お疲れ様です」

HIRO「お疲れ様。
久しぶりだね、A。元気にしてた？」

「おかげさまで元気です。」

HIRO「それは良かったよ。
前回あった時なんて顔死んでたからね」

こんなふうに、なんて私の顔マネしてくる。

…どんだけ酷い顔してたんだわたし。

「あの日の私は就職浪人でしたから」

HIRO「あの有名なダンサー・セノが就職浪人て聞いて、それはウチに来てもらうしかないって思ったよ。」

ダンサー＂セノ＂

HIROさんが言うソイツは私のことで。

東京に来てからいっちゃんと連絡が取れなくなって、

だったらダンスで有名になって

いっちゃんに見つけてもらおうと独学でダンスを学んだ。

すると色々なダンス関係者の人の目に止まって

振り付けを作って欲しいという依頼がきた。

だから顔は帽子で隠して曲を踊って、

色んなアーティストに振り付けを映像で提供した。

だからほとんどセノの素顔を知ってる人は居ないし

わたしもどのアーティストに提供したか知らない。

HIRO「 Aがここに入る時約束したよね。
いずれは振り付けをしてもらうって」

「 …そうですね。
でもまだマネジメントの仕事も半人前なので」

HIRO「だからね今回のDBKが終わったら
ランペのマネージャー補佐になってほしい。」

「 …え、」

どういうこと？話が見えない。

HIRO「樹のためなんでしょ、ダンス始めたの」

「なんでそれ、… 」

HIRO「言ってたじゃん幼なじみのいっちゃんに見つけてほしくてダンサーになったって」

「いっちゃんって言っただけなのに… 」

HIRO「俺には分かるんだよ。
いずれはランペの振り付けもしてほしい。

だからDBK終わったら連絡するからよろしくね」

「は、はい… 」

部屋を出てすぐに近くの壁に手をつく。

なんかどっと疲れた。

…これからやっていけるかな

そもそもファンタのみんなと

お仕事できるのもあと少しってことだよね。

少しだけ気が重くなった。

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