世界が変わっても君と (ページ36)

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episode36 ページ36

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いっちゃんの家を出てから帰って泣いた。
声も出さずに、ずっと泣いてた。

いっちゃんは約束を覚えてたのに
その約束は時効だって、信じてる方がバカだって。
だったらいっそのこと覚えてない、って
言ってくれた方がマシだった。

「 ……っ、」

子供の頃にした約束を信じちゃダメなの、？
だって迎えに行くって。
あれはその場だけの約束だった…？

考えれば考えるほど苦しくなって、
涙はぽろぽろと溢れてくる。

わたしはいっちゃんとの約束を守るために
今まで生きてきたと言ってもおかしくない。
だけど今までの人生を一瞬にして否定されたみたい…。

「ははっ、わたし…ばかみたい、」

いっちゃんの言う通りかも。

いい加減現実見なきゃだよね。
いっちゃんは芸能人でたくさんファンも居て、
私なんて相手にされないに決まってる。

「告白する前にふられちゃった… 」

でも伝えたらそばに居られなくなるし、
幼なじみとして居られるならそれでいいのかも。

だって簡単にいっちゃんのこと嫌いになれないもん。

「 …… 」

幼なじみとして、事務所のスタッフとして、
いっちゃんのそばに居るためにこの感情に蓋をしよう。もう出てこないようにしっかり蓋をして。

明日目が覚めたらいっちゃんのこと
幼なじみとしか思えない私でいられたらいいのに。

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お風呂に入って少しだけ落ち着いた。

ケータイのランプが光っていて
メッセージが来ていたことに気づいた。

…もしかして、いっちゃんかな

壱馬くん昨日はありがとう。
昨日Aの家に指輪忘れてったんやけど、ない ?

なんだ壱馬くんか…
1時間前くらいにメッセージ来てる。

そういえばまたね、って別れたあとに
トイレだけ貸してほしいって戻ってきたな。

ってことはトイレの手洗い場にあるかもしれない。

「あった… 」

ゴツめの指輪。
明らかに高そうな雰囲気と形。

A返信遅くなりました。指輪あったよ

メッセージを返して画面を暗くする。

…明日、いっちゃんに会いたくないな。
でもDBKの打ち合わせあるし…

「 ……はぁ、」

ため息がこぼれた。

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