世界が変わっても君と (ページ3)

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episode3 ページ3

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私の幼馴染の藤原樹

産まれてからずっと一緒に生きてきた私たち。

いっちゃんはものすごく意地悪で何度も、何度も

泣かされてきた経験がある。

わたしはかなり性格的に内気だし、

普通ならいっちゃんのこと嫌いになってた。

だけどたまに見せる優しい笑顔にやられて

好きという感情が私の中で芽生えた。

中学三年の時に引越しで私は東京へ。

その頃には自分のスマホも持ってて、

いっちゃんの連絡先も持ってたはずなのに

東京へ引っ越して三日後連絡が取れなくなった。

そこから今に至る。

だからいっちゃんが今どこで何してるのかを知らない。

「あ、やばい時間…… 」

四年制大学に通って2020年3月に卒業。

コロナ禍の中で私は社会人として働くんだけど

正直不安でしかない。

そんな今日、

初出社の私はキレイめな服を着て家を出た。

中目黒にあるLDHという会社

アーティストやら俳優女優が所属している

いわゆる芸能事務所ってやつ。

わたしはそこのマネージャー担当というものになった

自分からこの会社に入ったというか

この会社のお偉いさんつまりHIROさんの知り合いで

コネで採用されたと言ってもおかしくはない。

だからといって甘える気もないし、

やれる限りの全力は尽くしていきたいと思う。

「っしゃ、いってきます」

頬をパチンと叩いて事務所の敷地をまたぐ。

ここではどんなことが待っているのかな、

いっちゃんわたし社会人になったよ。

あの頃より大人になったから

今ならいっちゃんが迎えに来ても遅い、なんて怒らないよ。

だから迎えに来て。

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