世界が変わっても君と (ページ14)

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episode14 ページ14

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目の前にいる川村さんに通せんぼされて

エントランスに向かうことも出来ない。

かといって別の道はないし…

壱馬「ほら呼んで」

「 …呼ばないです」

壱馬「前みたいに呼んでくれたら通すけど？」

「前みたいにって、」

壱馬「ほらせーの壱馬くんって」

「む、むりです！」

壱馬「なんで？」

「恥ずかしいんですよ！」

壱馬「そうなん？笑
そんな大したことやないのになぁ」

わたしが川村さんと他人行儀に呼ぶから

彼はどうしても昔みたいに呼ばせたいみたい。

そこらへんの一般人のわたしに呼ばせるメリットなんて彼にはないはずなのにね。

壱馬「別にそんな難しいこと言ってないで？」

「わたしには難易度高いんですよ」

壱馬「頑固やな～」

「そっちが折れてください！」

こっちは必死なのに

川村さんは余裕そうに笑ってる。

これがイケメンの余裕ってやつですね

壱馬「ほらほら次の仕事遅れんで？」

「うぬぬ…… 」

壱馬「 Aちゃーん」

「 …か、」

壱馬「か？」

「ずまくん…… 」

壱馬「あかん言い直し。
ちゃんとハッキリ言うてくれんと通さん」

この人、鬼だ。

ていうか何がなんでも呼ばせる気だ…

このままじゃ仕事遅れちゃうし

なっちゃんのスマホも早く届けてあげないとだし。

ええい、恥ずかしくても呼んでしまえ！！！

「 …壱馬くんっ！」

壱馬「ん」

「わっ、！」

腕を掴まれて一瞬にして引き寄せられる。

彼の胸元にある私の顔は尋常じゃないくらい赤いんだろうな。

壱馬「合格。よくできました」

耳元で低い声で囁かれるもんだから

耳がゾクゾクして変な気持ちになりそう。

「 …は、なしてください… 」

壱馬「ああ、ごめんごめん
またこれからよろしく A 」

ぽんっと手をわたしの頭に乗っけられて

手を振って帰っていく壱馬くん

彼が触れた部分すべてが熱を持っている気がするのは

多分間違いじゃないと思う。

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