世界が変わっても君と (ページ13)

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episode13 ページ13

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部屋を出るとすぐに人が居た。

廊下の壁にもたれかかってケータイをいじってて

エントランスに行くにはどうしてもその人の前を通らなきゃいけない。

やだなぁ…怖そうだなぁ…

なんか声掛けづらいオーラだし挨拶だけささっとしよう

「お疲れ様です…… 」

__「なぁ」

「っ、！」

目の前を通り過ぎたと思ったら

私の腕はしっかり黒い人に掴まれていた。

その瞬間にふわっと香るさっきの匂い

あ…これって

__「俺のこと避けてる？」

「だ、断じて避けてないです…っ」

怖くて後ろ振り向けない

でもどこか懐かしくて落ち着く声でもあるし…

__「もしかして気づいてないだけ？」

じゃあ帽子とマスク取らんとな、と聞こえて

恐る恐る後ろを振り向くと…

「え"っ…… 」

やばい。変な声出た。

__「ほんまに気づいてなかったっぽいなぁ」

クスクス、と口元に手を当てて笑うのは

久しぶりに見る人だった。

「か、川村さん… 」

壱馬「まさかこんなとこで再会するなんてなぁ」

「来た時から気づいてました？」

壱馬「うん、すぐに気づいた。
まさか樹と翔平と幼なじみだったとは思わんかったけど。笑」

「わたしもまさか川村さんがランペイジだったなんて知りませんでした… 」

壱馬「まぁ隠してたし？」

前に何の仕事してるのか聞いたことがあったけど

芸能関係と言って濁してたから知るわけもなかった。

でもよく考えたらこんなにオーラあって

かっこよくて優しい人が芸能人だと聞いて納得。

壱馬「 …それに芸能人って境界線引かれるの嫌やったから」

「そうだったんですね… 」

壱馬「ていうかさっきからなんで敬語なん？」

「え、あ、いや歳上ですし… 」

壱馬「しかも川村さん呼びやし。
昔みたいにタメ口で壱馬くん、でええよ？」

「所属アーティストにそれは…… 」

壱馬「なぁんで。
恋人だった時みたいに呼んでくれへんの？」

そう、わたしたちは確かに恋人だった。

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