Angel 39 ページ41
何を考えているのかよく分からないあの目が、見るたびに吸い込まれてしまいそうな闇を感じるあの目が怖い。恐ろしいと思う。
……怖くて恐ろしいはずなのに、魅了されてしまいそうになる自分が、もっともっと悍ましい。
底なし沼のように、一度嵌ればズブズブとそのまま沈んでしまうことは分かり切っているのに、いるはずなのに、それでも惹かれてしまうから。
「隆さん、」
ポツリ、と唇から零れ落ちた名前。思い浮かべるのはあの優しい、木漏れ日のように柔らかくて温かい、彼の笑顔。
――――ああ、大丈夫。私は彼が好きだ。彼の言葉に、微笑みに、心が救われた。少しカサついた、それでいて柔らかい唇が触れた時に、魂が震えたような、そんな感じがした。あの甘く疼くような心地よい痛みは、決して噓じゃない。
心を落ち着かせるように言い聞かせて、私は自分の部屋へと戻る。
……あれから隣の部屋を訪ねても、蘭さんも竜胆さんも、まるで何事もなかったかのように振る舞う。思わず、あの日の出来事を忘れてしまいそうなほどに自然に接してくださる。
三途さん、ココさん、そしてお二人が家を出て行き、いつものように私も食器の後片付けをして。
――その時流れてきたニュースに、ふと耳を傾けた。
《_____ここで速報です。日本最大の犯罪組織、梵天の幹部が映っていると思われる映像を、先程警察が公開しました》
「梵天……」
ここ最近よく聞く名前だ。売春、賭博、更には殺人まで、その背景には必ずその組織が関わっているとも。私にとっては唾棄すべき存在。極悪人の集まりだと思っている。
どうしてそんな、極悪非道な行いができるのか、もはや遺伝子レベルで理解できないとも思う。物騒な世の中になってしまったもんだ。そんな嘆きと共にテレビ画面に目を向けて、
「ーーーっっ!?」
__自分の喉が引き攣って、「ヒュウ、」と変な音を発するのを確かに聞いた。
先程公開されたというその映像には、見覚えのある人物ばかりが映っていた。
三途さんに、灰谷さん達お二人。ココさんや、一度だけ姿を見たことのある明司さんも。
そして奥の方にちらりと見える白髪は、佐野さんのものだろうか。
情報が処理できない。何で、どうしてこんなところに彼らの姿が。頭がパンクしそうだった。何で、どうして。
「――――見たのか」
……後ろから、声が聞こえた。
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@じゅら - パクりですか? 似てる作品を知ってるのですが… (11月26日 22時) (レス) @page47 id: d21974408e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - はじめまして瑠璃と申します。ハッピーエンドかと思いきやまさかの展開でびっくりでした。続編希望します。 (9月5日 16時) (レス) @page45 id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - めっちゃ最高です (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - これってもしかしてお隣の天使様に駄目人間にされていた件っていうのを参考にしてますか? (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃてぇ(プロフ) - 初コメ失礼します。 梵天のメンバーたちが夢主ちゃんに依存?しちゃう感じででもほんわかな感じで三ツ谷君とこのままハッピーエンドで終わるのかなとおもったら最後の最後でバッドエンドで裏切られました。終わり方も切なくていいなと思いました。続編待ってます (2022年10月30日 22時) (レス) @page47 id: ae31029510 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年11月3日 20時