Angel 38 ページ40
力の差はあまりにも明白だった。私みたいなもやしボディが、細いけれど逞しい二人にかなうはずもなく。
「蘭ちゃんの言う事聞けない悪い子なAちゃんには、後でキッツ〜いお仕置きな?」
「やだ、返してください、お願いだから返して!」
「だーめ♡」
手を伸ばしても、ヒョイと躱される。それどころか、なおも蘭さんに追いすがる私を引き剝がすように、後ろから竜胆さんに羽交い締めにされて。
「落ち着けって、いい子だから大人しくしてろっつーの」
「やだ、やだ、離してください…」
腕の拘束から逃れようとジタバタして、無理矢理顎を掴まれねじられる。竜胆さんの顔を見るような形で。
こんな状況でさえ、思わず息を止めて見惚れてしまうぐらいには、竜胆さんの顔は綺麗で。
束の間ボーっとしている間に、蘭さんの指が機械的に動く。
「っ! ダメです、消さないでくださ―――」
「_____それぐらいにしといてやれ、お前ら」
二人にとっては予想外の、私からすれば天の救いにも相当する声。それは紛れもなく―――
「鶴蝶さん!!」
「……チッ」
蘭さんの手からスマホを回収し、ついでに竜胆さんの拘束をほどいてくれる鶴蝶さん。天使様。天使でしかない。神以外の何者でもない。
連絡先は…良かった、辛うじて消されてない。ホントに良かった。
「もう今日は帰れ、A」
「は、はい」
お言葉に甘えて、そそくさとその場を後にする。背中に視線を感じながら、気付かないふりをして。
――――『お隣さんに気を付けるんだよ。随分君に執着してるみたいだから』
あの時は言っている意味がよく分からなかった、睦月の言葉。それが今になって、少しだけ理解できた気がする。
自意識過剰なのかもしれないけれど、あの人たちはこと私に関して、異常なほどの関心を見せる。
何故なのかは分からない。それでも、普通の人たちとはどこか違う。
優しいけれど、残酷で。紳士的なのに、獰猛で。相反する二つの要素を抱えているからこそ、酷く危うく、不安定にも思えてしまう。単に感情の起伏が激しいだとか、そんな言葉で一括りにすることは出来ない。
―――加えて、佐野さんのあの、この世の闇をすべて詰め込んだかのような、深淵を覗き込んだような真っ黒な目。あの目で見つめられるたび、得体の知れない感情に襲われる。
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@じゅら - パクりですか? 似てる作品を知ってるのですが… (11月26日 22時) (レス) @page47 id: d21974408e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - はじめまして瑠璃と申します。ハッピーエンドかと思いきやまさかの展開でびっくりでした。続編希望します。 (9月5日 16時) (レス) @page45 id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - めっちゃ最高です (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - これってもしかしてお隣の天使様に駄目人間にされていた件っていうのを参考にしてますか? (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃてぇ(プロフ) - 初コメ失礼します。 梵天のメンバーたちが夢主ちゃんに依存?しちゃう感じででもほんわかな感じで三ツ谷君とこのままハッピーエンドで終わるのかなとおもったら最後の最後でバッドエンドで裏切られました。終わり方も切なくていいなと思いました。続編待ってます (2022年10月30日 22時) (レス) @page47 id: ae31029510 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年11月3日 20時