Angel 30 ページ32
「捨てるなんて…そんなひどいこと、しません。…大切にします」
腕の中にすっぽり収まるクマのぬいぐるみをむぎゅっと抱きしめる。柔らかくて、触り心地がすごくいい。ふわふわもふもふ。
「このクマさんを佐野さんだと思って、一生大事にします。愛でます。毎日一緒に寝ます」
「本人が目の前にいるのにか？」
「！…確かに」
えへへと笑えば、つられたように微笑む佐野さん。そのまま体を引き寄せられて、人形ごと抱きしめられた。
「！」
「――ずっとオレの傍にいろ。これは命令だからな」
「…それぐらいで、喜んでもらえるのなら」
つまり、ずっと隣に住んでいてほしいということで合ってる…のかな？うん、きっとそう。それぐらいでいいなら、お安い御用。
「……オレ、オマエがいなくなったら、マジで壊れるかもしんねぇ、」
「ええええ」
そんな大袈裟な。そんな胃袋掴んじゃったの、私。
「＿＿＿覚えとけ、A」
「……はい、」
急に佐野さんの顔つきが険しくなる。そして、
「俺から逃げたら殺す。オレ以外の男好きになっても殺す。＿＿そんでもってこれは、」
――――かぷり、と甘嚙みするように、極自然に唇を奪われた。思考が停止する。何が起こったのか、現状に理解が追い付かなくてフリーズした。
「――誓いの印、」
「……え」
凍りついたように静止してたのはどうやら他の皆さんも同じだったみたいで。
「オイマイキー、オマエ何して…っ」
「ズリィなー、ボス」
「いやそんなこと言ってる場合じゃねぇだろ、兄ちゃん、」
周りの喧騒も何もかもが耳の届かない。ただ、佐野さんのどこまでも深い、吸い込まれてしまいそうなほどに深い真っ黒の瞳だけが、私の視線に絡みつくように、鮮明に意識へ刷り込まれていく。
僅かに笑みを湛えた口元。幼さを感じさせる顔が色っぽく見える。私の世界には、今、彼しか映っていない。きっと彼の世界にも、私しか。＿＿そう錯覚させるような、長いようで短い時間。
そして。
「――」
「オイ、Aが倒れたぞ！！」
「ボスのせいだろ」
「運んだ方が良いのか？」
皆の慌てたような声が遠くで聞こえる。
「オレも、ぬいぐるみとかあげりゃよかったかな、」
どこまでも吞気そうな蘭さんの声だけが、その場でどこか異質な存在感を纏っていた。
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@じゅら - パクりですか？ 似てる作品を知ってるのですが… (11月26日 22時) (
レス) @page47 id: d21974408e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - はじめまして瑠璃と申します。ハッピーエンドかと思いきやまさかの展開でびっくりでした。続編希望します。 (9月5日 16時) (レス) @page45 id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - めっちゃ最高です (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - これってもしかしてお隣の天使様に駄目人間にされていた件っていうのを参考にしてますか？ (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃてぇ(プロフ) - 初コメ失礼します。 梵天のメンバーたちが夢主ちゃんに依存？しちゃう感じででもほんわかな感じで三ツ谷君とこのままハッピーエンドで終わるのかなとおもったら最後の最後でバッドエンドで裏切られました。終わり方も切なくていいなと思いました。続編待ってます (2022年10月30日 22時) (レス) @page47 id: ae31029510 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年11月3日 20時
