隣の天使 【梵天】

Angel　26 ページ28

日焼けすると赤くなって痛むタイプらしいAは人一倍日焼けに気を使っているので、水着だけの姿だとその白さが顕著だ。その染み一つない乳白色の肌は、眩しさを覚えるほど。


そんな陶器のような雪肌で構成された肉体は、見事の一言に尽きた。
元々華奢なのは知っていたが、本当に細い。不要な脂肪がないように絞りつつも、貧相には見えない程度に女性らしい柔らかさを残している。


フリルで縁取りされた白地のビキニで隠された胸部は勾配がきつく、ふっくらと柔らかなラインを描いていた。

着瘦せするとは思っていたが、まさかここまであるとは思っていなかった。かと言ってその体格に見合わない不自然な大きさというわけでもなく、程よく手に収まる理想的な大きさ。


慎ましいAがビキニを選んだことは衝撃を受けたが、いやらしさがあるかと言えば否だ。大きめのフリルで縁取りされているおかげで谷間がほどよく隠されているし、Aの顔立ちもあり、品と清楚さすら感じさせた。



「――――」

ゴクリ、と生唾を飲み込む音が自分の中から聞こえる。普段女の水着姿どころか裸でさえ見慣れているであろう三途や灰谷兄弟も、固まってAを凝視。九井はヒュウと口笛を吹き、鶴蝶は分かりやすく顔を赤らめて。



「……佐野さん？」

不思議そうにAがこちらを覗き込む。こんなにも彼女が近くにいる。吸い寄せられるようにして、彼女に向かって手を伸ばし、



「よし！泳ぎましょう」


伸ばした手は無意識なのだろうがするりと躱され、Aは素晴らしいフォームの飛び込みを披露する。着水面積が小さく綺麗に飛び込んだため、水飛沫はそこまで上がらない。


「…は？」

「こう見えても、中学、高校と水泳部でしたから。大会で結構いい成績も出したんですよ？」


整ったフォームで、美しい背泳ぎを開始するA。



(こういうのって普通、泳ぐとかよりもいちゃつくのを優先すんじゃねぇのか…？)

困惑しかなかったが、余りにもピュアなAにそれを求めるのはまだ早かった。




「ほら、皆さんは泳がないんですか？」

水の中から手を伸ばし、朗らかな表情でAが笑う。



そんな彼女に釣られるようにして、三途、続いて灰谷兄弟、九井、鶴蝶と中に入っていく。
そんな彼らに遅れて、万次郎もまたそっと水中に潜り込んだのだった。

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