Angel 21 ページ23
「兄貴?……Aの?」
「……はい、」
一応といった風に尋ねる三途さん、それに睦月がおずおずと答えれば、途端に破顔する3人。
「なんだ、アニキかよ」
「……びっくりしたわー」
「つれねーなーAちゃん。蘭ちゃんに教えてくれたってよかったじゃん?」
肩に手を置いてこちらを覗き込み、相変わらずの魅惑的な笑顔でそんなこと言うけれど、私は。
「……、ないじゃないですか」
「ん?」
「関係、ないじゃないですか」
「…なに?」
冷たく強張った私の声に、蘭さんは形のいい眉を顰めて。
「彼女面する気持ち悪くてうざい女のことなんて、灰谷さんにとってはどうでもいいことなんじゃないですか!?」
「は?――え、何それ、」
「ずっと迷惑だって思ってらしたんですね、気づけなくてすみません!!……もう二度と、お宅には伺わないようにしますから。ココさんや鶴蝶さんや佐野さんにもごめんなさいって言っといてください!」
信じていた人に裏切られていたような、そんな気持ちだった。
「行こう、睦月」
「――あ、」
傍にいた睦月の腕を引っ張って、そのまま自分の家に連れ込んでドアの鍵も閉める。
どうせこんなことになるなら、最初から優しくしないでほしかった。そうしたら、こんなに傷つくこともなかったのに。
「あんな怒りに任せた行動をした私を、軽蔑する?」
「そんなことしないよ。――たとえ世界中が敵に回ったとしても、僕だけは君の味方だよ」
睦月はいつも、詩的な表現を好んで使う。そんなところも好きだ。
誰よりも私を理解してくれる睦月。正真正銘、血を分けた双子のお兄ちゃん。そんな彼に対して胸の奥から湧き上がる想いを、今日もまた、そっと握りつぶす。
「ちょっと下の郵便受け見て来るね、」
先にお風呂に入り、タオルで髪を拭く睦月にそう伝えてからドアを開けて外に出る。
「お、よーやく出てきた」
「ったく、どんだけ待たせんだよ」
――――まさか、外で待ち伏せされていたなんて、だれが想像していただろう。
「やっ、ちょっ、何するんですか!」
「暴れんなって。ちょっと俺らとお話しような♡」
「話をすることなんて、何も…っ」
「あー、言っとくけど拒否権ねぇから」
そのままなすすべもなく、もう二度と入らないと決めた隣の部屋に、連れ込まれてしまったのだった。
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@じゅら - パクりですか? 似てる作品を知ってるのですが… (11月26日 22時) (レス) @page47 id: d21974408e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - はじめまして瑠璃と申します。ハッピーエンドかと思いきやまさかの展開でびっくりでした。続編希望します。 (9月5日 16時) (レス) @page45 id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - めっちゃ最高です (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - これってもしかしてお隣の天使様に駄目人間にされていた件っていうのを参考にしてますか? (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃてぇ(プロフ) - 初コメ失礼します。 梵天のメンバーたちが夢主ちゃんに依存?しちゃう感じででもほんわかな感じで三ツ谷君とこのままハッピーエンドで終わるのかなとおもったら最後の最後でバッドエンドで裏切られました。終わり方も切なくていいなと思いました。続編待ってます (2022年10月30日 22時) (レス) @page47 id: ae31029510 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年11月3日 20時