Angel 01 ページ3
面倒だと即座にドアを閉めなかったのは、彼女の容姿が、自分の好みドストライクだったからか。
びっくりするほど小顔でスタイルが良く、胸も程よく大きい。異国の血を引いているのだろうか、人形のように綺麗に整った貌と、色素の薄い髪と目の色、透き通るような白い肌も好ましく思えた。
「これ、つまらないものですけど、よろしければ」
控えめに差し出されたのは、有名な高級和菓子店の紙袋。されるがまま受け取ったときに、ふんわりと甘い花のような香りがした。
普段仕事で付き合うような、キツイ香水をつけ、けばけばしく自分を飾り立てたピンク色の蠅みたいな女とは何もかもが違う。
「オイ、」
では、と軽く会釈をして自分の部屋に戻っていこうとする彼女の腕を掴んだのは、咄嗟の行動だった。
「はい、何でしょうか?」
引き留めたはいいものの、言葉を用意していたわけではない。キョトンとした大きな瞳で見つめられて、どうすればいいのか分からず焦る。…焦る?この自分が、女に見つめられたぐらいで?
「いや、その…」
「ゆっくりで、構わないですよ」
優しく、慈愛に満ちた微笑みを向けられただろうか。咄嗟に口から出たのは、
「お前、料理得意か?」
(馬鹿か俺は!!初対面のオンナにこんなこと聞いても、引かれるだけだろうが!!)
案の定彼女は、ポカンとした表情を浮かべている。心の中で自分に悪態をつき、そこではたと動きを止めて。――何故、彼女に引かれることを、嫌だと感じるのか。今ここで、会ったばかりの女に。
「料理は、好きです」
唇が緩やかな弧を描き、笑みの形を作り出す。そんな表情の前に、今度こそ、何も言えなくなってしまった三途。
「やっぱ何でもねェ、今言ったことは全部忘れろ、いいな?」
「はあ…」
「コレ、ありがとな。じゃ、」
紙袋をひらひらと揺すったあと、ドアを閉める。
「誰だった?」
「…。今日引っ越してきた隣人」
「隣人?あれ、この階って全部俺らのモンじゃなかった?」
蘭が不思議そうに首を傾げれば、
「いや。確か端の部屋だけ空いてたはずだぞ」
九井がその疑問に答える。
「へー、このマンションに、わざわざ引っ越してくるとか、相当おつむが弱いのか、それとも俺らに喧嘩売ってんのか」
「後者だったら早めに殺っといたほうがいいかもな」
物騒なやり取りが兄弟間で交わされる。まるで、今日の夕食について話すような雰囲気で。
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@じゅら - パクりですか? 似てる作品を知ってるのですが… (11月26日 22時) (レス) @page47 id: d21974408e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - はじめまして瑠璃と申します。ハッピーエンドかと思いきやまさかの展開でびっくりでした。続編希望します。 (9月5日 16時) (レス) @page45 id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - めっちゃ最高です (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - これってもしかしてお隣の天使様に駄目人間にされていた件っていうのを参考にしてますか? (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃてぇ(プロフ) - 初コメ失礼します。 梵天のメンバーたちが夢主ちゃんに依存?しちゃう感じででもほんわかな感じで三ツ谷君とこのままハッピーエンドで終わるのかなとおもったら最後の最後でバッドエンドで裏切られました。終わり方も切なくていいなと思いました。続編待ってます (2022年10月30日 22時) (レス) @page47 id: ae31029510 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年11月3日 20時