Angel 16 ページ18
「お手洗い、借りますね」
「おう、場所分かるか?」
「はい、ありがとうございます」
ココさんや鶴蝶さんは相変わらず優しいけれど、どうにもリビングにいるのが居心地悪くて、逃げるようにその場を後にする。
視線が追いかけてくるのが分かったけど、気付かないふりをして。
「はぁ、喉乾いちゃった」
手を洗っている時にいきなりそんな声が聞こえて、弾かれたように顔を上げた。
そこにはさっきリビングにいた二人の女の人とは違う、この家に入って一番最初に蘭さんといるところを見かけた、あの美人のお姉さん。
「運動した後って、喉乾くのよね〜」
誰かに聞かせるような声でコップに入れた水道水を軽く口に含み、流し込んだ後、
「ねぇ、あんた誰?」
「えっと、あの、隣に住んでます……」
刺々しい言葉に、小さくそう答えることしかできなくて。
「え、じゃあ何でこの部屋に上がってるの?見たところ、恋人ってわけでもないのに、」
「朝ご飯と、お昼ご飯を作ったりするのが、私の…役目?というか」
おずおずと返せば、「ああ、あんたが例の、」と納得したように、唇を吊り上げて嗤う。
「例の?」
「蘭、言ってたよ?―――ウザイ女がいるって」
「っ!」
……その口から放たれた言葉に、息が詰まった。
固まる私を他所に、彼女はスラスラと言葉を紡いでいく。
「頼んでもないのに、勝手に家上がってご飯作ったりなんかして。彼女面されるの気持ち悪いし、どっかいかねぇかなぁって。……蘭、そう言ってたよ?」
時間が止まってしまったかのような、そんな錯覚に陥る。
――――そっか。わたし、嫌われていたのか。蘭さんに、ううん、多分、竜胆さんや三途さんにだってそう思われているはず。今日の態度が言葉よりもはっきりと明白に表していたじゃないか。
「蘭たちの隣に住んでるからって、ちょっと調子に乗りすぎなんじゃない?」
「――」
コップに残っていた水を、パシャリ、と掛けられる。
ここまで誰かに悪意を向けられたことがない私は、何もできずただ突っ立っていただけで。
横髪からポタポタと水を滴らせる私を横目に満足したのか、彼女はリビングの方へ向かって行って。
「きゃ〜りんちゃん久しぶり〜!!」
なんて声が聞こえてきたけど、暫く私はずっとその場に立ち尽くしていた。
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@じゅら - パクりですか? 似てる作品を知ってるのですが… (11月26日 22時) (レス) @page47 id: d21974408e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - はじめまして瑠璃と申します。ハッピーエンドかと思いきやまさかの展開でびっくりでした。続編希望します。 (9月5日 16時) (レス) @page45 id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - めっちゃ最高です (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - これってもしかしてお隣の天使様に駄目人間にされていた件っていうのを参考にしてますか? (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃてぇ(プロフ) - 初コメ失礼します。 梵天のメンバーたちが夢主ちゃんに依存?しちゃう感じででもほんわかな感じで三ツ谷君とこのままハッピーエンドで終わるのかなとおもったら最後の最後でバッドエンドで裏切られました。終わり方も切なくていいなと思いました。続編待ってます (2022年10月30日 22時) (レス) @page47 id: ae31029510 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年11月3日 20時