Angel 12 ページ14
相変わらずの笑みを浮かべたまま、なのになぜか底冷えするような寒気を感じさせる佇まいに、目の前にいた男の人たちが、ヒュッ、とかヒッ、みたいな声を洩らす。
「君達いっかい死ぬ?それとも死ぬ?それか、死ぬ?」
……私の聞き間違いなのかな。3つぐらい選択肢あるように見せかけて、死ぬ一択しかないような気がするのですが。死ぬor死ぬor死ぬ、みたいな。
「誰の女に手ェ出したのか、ちゃんと教え込んでやんねぇとな、兄貴」
「だな、竜胆」
ピリピリとした殺気を放出しながら近付いていく二人に、為す術もなく、ただガタガタ震える彼らを目にして、
「す、すとっぷ……」
「ん?」
「どした?Aちゃん」
2人の両腕を、後ろから掴んで引き留めてしまっていた。
「もう、大丈夫です、大丈夫ですから、行きましょう」
「その前にコイツらを殺ってから……」
「お二人が来て下さったから、もういいんです。私はそれで、十分ですから」
不満そうな灰谷さん達の前に出て、怯え切った男の人たちに向かって口を開く。
「これからはこんなことやめてもらえれば、もう何も言うことはないです。さよなら、」
反応も見ないまま、踵を返して歩く。ひたすら歩く。
戸惑ったように、渋々と二人が私の後を追いかけてくる気配がした。
良かった。二人共、本気の目をしてたから。相手を殺すという発想に至ることに、何の躊躇も抱かないような瞳をしていた気がして。…気のせいだとは、思うけれど。
「あれでホントに良かったのー?」
車を運転しながら蘭さんにそう尋ねられる。隣に座る竜胆さんもいつも通り、どこか素っ気ないようでいて、それでいて心配するような、そんな顔をしていて。
…うん、きっとさっきの顔は、見間違いだったに違いない。こんなに優しい二人が、殺すだなんて、そんなこと。
「……はい、ありがとうございます」
安心したら、ほんの少し眠くなってきた。それにしてもこの車、凄く高そう。
――竜胆――
眠そうにしてるな、とは思ってた。思ってたけど、
「――――、」
「ちょ、これは…」
まさか自分の肩に寄りかかられる事まで想像してなかった。
急に何か重みがかかって、それからミルクのような、ほんのりと甘い匂いがして、気付いたらこの有様。
…それにしても、Aのやつ、本当に綺麗な顔してる。
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@じゅら - パクりですか? 似てる作品を知ってるのですが… (11月26日 22時) (レス) @page47 id: d21974408e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - はじめまして瑠璃と申します。ハッピーエンドかと思いきやまさかの展開でびっくりでした。続編希望します。 (9月5日 16時) (レス) @page45 id: f3335c8e16 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - めっちゃ最高です (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ - これってもしかしてお隣の天使様に駄目人間にされていた件っていうのを参考にしてますか? (2023年1月11日 22時) (レス) id: 395eb4f5e7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃてぇ(プロフ) - 初コメ失礼します。 梵天のメンバーたちが夢主ちゃんに依存?しちゃう感じででもほんわかな感じで三ツ谷君とこのままハッピーエンドで終わるのかなとおもったら最後の最後でバッドエンドで裏切られました。終わり方も切なくていいなと思いました。続編待ってます (2022年10月30日 22時) (レス) @page47 id: ae31029510 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年11月3日 20時