検索窓
今日:74 hit、昨日:131 hit、合計:612,866 hit

Episode07 ページ9

「お前もこの駄菓子屋、好きなのか?」

「・・・」

「これ、チョーうまいよ、オレのおすすめ」

「・・・」



袖に腕を通さず、ブレザーを肩で羽織るという謎ファッションで話しかけてくれるけども、答えられないんだな、これが。



急に話しかけられても、言葉が出ない。
無言を貫く私に、ちょっとムッとしたように口を結ぶマイキー君(?)。そんな拗ねたような顔されても、マジで喋るの苦手なんだよ。




「……そういえばオマエ、名前は?」

今気づいた、とでも言わんばかりに身を乗り出して聞いてくる彼。流石に無言は失礼な気もするし、なんか返そう。無難に『此花です』でいいかな。



よし、3秒数えたら声を出そう。息を吸って、3、2、1……


「―――此花Aっスよ、マイキー君」

「!」


横から急に現れた千冬に、言おうとしていた言葉は引き継がれることになった。

「千冬ー…」

幼馴染兼救世主の千冬の腕に、思わず縋り付いてしまうのも仕方ない。これは不可抗力。
おーよしよし、なんて言いながら頭を撫でる千冬の手のひらの感触に、うっとりして。



「ふむふむ、コノハナかー。この、このは、いや、このっち……?」

「あだ名は考えて頂かなくても結構ですから。此花で構わないです」


千冬が隣にいて、その温もりに触れていたせいか、すらすらと自分でも驚くほど言葉が出てきた。


「!……何オマエ、オレの前ではだんまりのクセに、千冬がいるとそんな喋れんの?」


…う。図星だけどそれは言わないでくれ。頬を膨らませてジト目視線を向けられると、どうにもバツが悪い。まぁまぁ、と取り成してくれたのは、又もや千冬だった。


「すんません、Aは昔からこんな感じで。―――オレにしか、心を開かないんスよ。オレにしか」



どこか恍惚とした、優越を滲ませた口元に、マイキー君はもっともっと拗ねたような顔をするけど。



「まあいっか。―――他の奴とも、話せるようにしとけよ、A」

結局名前呼びかーい。そしてそんな日は永遠に来ないような気がするんだけど、気のせい?





彼と別れた後、千冬が遊びに来るかと誘ってくれたので、ありがたくその提案に乗らせていただき、実に1年ぶりに彼の家にお邪魔した。

Episode08→←Episode06



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (1019 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2554人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。