Episode07 ページ9
「お前もこの駄菓子屋、好きなのか?」
「・・・」
「これ、チョーうまいよ、オレのおすすめ」
「・・・」
袖に腕を通さず、ブレザーを肩で羽織るという謎ファッションで話しかけてくれるけども、答えられないんだな、これが。
急に話しかけられても、言葉が出ない。
無言を貫く私に、ちょっとムッとしたように口を結ぶマイキー君(?)。そんな拗ねたような顔されても、マジで喋るの苦手なんだよ。
「……そういえばオマエ、名前は?」
今気づいた、とでも言わんばかりに身を乗り出して聞いてくる彼。流石に無言は失礼な気もするし、なんか返そう。無難に『此花です』でいいかな。
よし、3秒数えたら声を出そう。息を吸って、3、2、1……
「―――此花Aっスよ、マイキー君」
「!」
横から急に現れた千冬に、言おうとしていた言葉は引き継がれることになった。
「千冬ー…」
幼馴染兼救世主の千冬の腕に、思わず縋り付いてしまうのも仕方ない。これは不可抗力。
おーよしよし、なんて言いながら頭を撫でる千冬の手のひらの感触に、うっとりして。
「ふむふむ、コノハナかー。この、このは、いや、このっち……?」
「あだ名は考えて頂かなくても結構ですから。此花で構わないです」
千冬が隣にいて、その温もりに触れていたせいか、すらすらと自分でも驚くほど言葉が出てきた。
「!……何オマエ、オレの前ではだんまりのクセに、千冬がいるとそんな喋れんの?」
…う。図星だけどそれは言わないでくれ。頬を膨らませてジト目視線を向けられると、どうにもバツが悪い。まぁまぁ、と取り成してくれたのは、又もや千冬だった。
「すんません、Aは昔からこんな感じで。―――オレにしか、心を開かないんスよ。オレにしか」
どこか恍惚とした、優越を滲ませた口元に、マイキー君はもっともっと拗ねたような顔をするけど。
「まあいっか。―――他の奴とも、話せるようにしとけよ、A」
結局名前呼びかーい。そしてそんな日は永遠に来ないような気がするんだけど、気のせい?
彼と別れた後、千冬が遊びに来るかと誘ってくれたので、ありがたくその提案に乗らせていただき、実に1年ぶりに彼の家にお邪魔した。
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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時