Episode06 ページ8
「A、1年ぶり位だろ、久しぶり」
「再会の喜びを分かち合いたいところだけどもう少しだけ待って」
「?」
すささ、と千冬の背中の後ろに隠れる私。私に気付き、大股でやってくるあの人。
「どうしたんスか、マイキー君」
「オイ千冬、ちょっとソイツ貸せ」
怒り心頭、といった様子でこちらに来るまいきー君(?)。プルプルと首を横に振る私を見た千冬の表情が、若干険しくなる。
「―――こいつが、何かしたんスか?何するつもりですか?」
千冬の質問に彼は一瞬動きを止め、そして、
「だってソイツ、オレの手ェ叩いたのに、謝ってないんだぞ!?」
頬っぺたを、食べ物を詰めたリスのように、風船の如く膨らませて叫んだ。
「すげぇ痛かったんだからな。ほら、こんな赤くなってる」
ほら、と差し出された腕は、じんわりと赤いけれど。……え、なんかこの人、すんごい子供っぽく見えるのは気のせいですかね。
「あーー痛い。すごい痛い。誰かさんのせいでだけど」
わざとらしくそう言って、チラ、チラ、とこちらを横目で見る彼に、面倒くさくなった私は、
「……すいません」と小さく呟く。
「―――まあいっか。今回は許してやる」
あんだけ必死に追いかけてきた割にはあっさりしてんなーとか思ったけど、口には出さなかった。……エマの兄ちゃん、わけわかめ。エマには悪いけど。
久し振りとは言っても、1年ちょっとかそこらだけれど。久しぶりに再会した私たちはキャーキャーと子供の頃のように騒いでいた。
絶望的なほどにコミュニケーション能力に欠けた私が、唯一滑らかに喋ることができるのは今んところ千冬だけ。
ひとしきり喜び合って、連絡先を交換したあと、名残を惜しみつつも別れて。
その日は帰ってお風呂に入ってすぐ寝た。
その次の日は珍しく、学校帰りに急に甘いものが食べたくなって、家の近くの駄菓子屋さんに寄った。
何が良いかなーと一通り商品を物色し終わった辺りで、
「あ、オマエ、昨日の奴」
ピンクゴールドのふわふわした髪の毛。……ねぇちょっと待って何で私この人とこんなにエンカウント率高いんだろう。
マイキー君、と千冬に呼ばれていた彼と、またもや再会してしまった。神様、呪ってやる。
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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時