Episode03 ページ5
□■ side エマ ■□
身体全体が、熱に浮かされているように熱い。Aの顔に釘付けになり、目が離せない。
金糸のような髪は陽光を具現化したように甘く輝き、細い肩を伝って背中に光の滝を生み出している。踏み荒らされることを知らない、降り積もる白雪の肌。宝石を嵌め込んだ眼差しは、魅入られるほど深い翡翠色をしていて。
ビスクドールのように繊細で精緻な面貌は、あらゆる人間が抱く、“美”という概念そのもののように思えた。
稀代の芸術家達がそろって筆を折るような美貌――――そんな言葉が彼女には相応しい。
美人は3日で飽きるというけれど、Aの顔は永久に見つめていたい。そんな感情すら生まれ始める始末。
ハーフだと聞いたことがあるけれど、そこまで彫りが深いわけではなく、どちらかと言えば顔立ちは日本人に近い方だ。―――和洋折衷人形、そんな言葉が頭に思い浮かんで、
「はい、見えない見えない、これでもう見えません」
いつの間にか、いつものスタイルに戻っていたA。「えー」と不満の声を上げても、全く聞き入れてくれそうにない。
□■ side A ■□
ふぅ、やばかった。エマの瞳がだんだん熱を帯び始めていたので、これはやばいと思って例の一張羅に戻った?訳ですが。何度も言うけど、エマと百合展開は求めてない。
「…それで?何か用事?」
「…へ?―――ああそーだった、用事があるんだった」
良かった。ちゃんと用事はあるみたいだった。これでもしなかったら、ただのストーカー行為でしかなかったぞ、君。
「ウチ、これから東卍の集会行くから、Aも付いてきてよ」
「とーまん?」
エマから詳しく事情を聴く。ふんふん、エマのお兄さんがそのとーまんとか言う暴走族グループの総長で、今日の夜集会があるんだとか。
だがしかしエマはそこにいても暇なので、話し相手が欲しいと。で、その話し相手とやらに、私がなってほしいと。ふむふむ。…うん、
「絶対無理」
「なんで!?」
嫌に決まってるでしょうか。インドアの極みである私が、夜に外出?暴走族?
ないわー、マジでないわー。自らマグマの噴火口に飛び込むのと同じくらい自 殺行為。
暇なエマには悪いけど、それだけは絶対嫌。こちとらヒッキー極めてるので。
ヒマなエマ、なんか駄洒落っぽくて面白い。…クソどうでもいいけど。
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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時