Episode36 ページ38
「で、デート!!」
「?」
とっさに叫んだ言葉に、彼はぴたりと動きを止めた。自分でもよくわからんままに口に出したので、これから何て言おうと頭をフル回転させる。
「こ、今度の日曜日、デートしない?」
ああ私の貴重なお一人様休日が失われていく。すっごい嫌だけど、ファースト奪われるくらいならまだマシ。
私の言葉を聞いた彼の反応は劇的だった。僅かに顔を赤くし、頬を搔きながらそわそわとし始める。
「デート、か?」
「そう、デート。マイキー君、甘いもの、好きだったよね?」
「ああ、うん、すげぇ好きだけど」
「美味しいケーキでも、食べに行かない?」
とどめとして、ふわりと甘く微笑んで見せる。
「行く」
即座に頷いた彼にホッとした。
「それじゃあ、私はそろそろ帰らなくっちゃ」
「おう」
すげー、めっちゃ素直。そんなにデート嬉しいのだろうか。私としては解放されたしよかったんだけども。
千冬はこのことを知ったらどう思うんだろう。どうも思わないかな。あんな別れ方して、会いに来ると言った千冬から逃げて。
こみ上げてくる罪悪感に、気付かないフリをする。
「千冬だって、女の子に囲まれて嬉しそうにしてたんだから」
言い訳するように、自分自身に言い聞かせるようにそう呟いて。
そうだよ、私は今までちょっと千冬に依存しすぎてたのかもしれない。千冬以外の友人を増やしていけば、あんな光景を見て胸を痛めることも、なくなるかもしれない。
いやでもコミュ能壊滅的で引きこもりかつ根暗な私が友達作るとか、逆立ちして歩くぐらい難しそうな気がする。
かなり現実味のない計画だな、ホント。
「いっそのこと、マイキー君と付き合っちゃおうかな」
「ん?何か言ったか?」
ぼそりとつぶやいた私に、不思議そうに彼が顔を覗き込んでくる。
「色々と難があるけど、ちゃんと私の中身を見てくれるし」
「何の話してんだ?」
無邪気で、一緒にいるとそこそこ楽しい。これが恋に発展することは、無いとは分かっていても。
「ううん、何でもない」
もうすぐ家に着く。未だ瞳に疑問をうかべるマイキー君に、柔らかく微笑みかけて。
「日曜日、楽しみにしてるね」
「!!…お、おう」
フイっとそっぽ向いた彼に、申し訳ないなとは思うけれど。いいもん、私だって彼と楽しんでやるんだから。
「――――Aの、バカ」
近くで千冬が会話を聞いていたなんて、私には知る由もなかった。
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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時