Episode34 ページ36
久方ぶりの安寧。
基本的にヒッキーの私が外出するのは家から学校までの行き帰りであり、そこを乗り越えればまず厄介ごとに巻き込まれることはない。
逆に言うなら、その時間に絡まれることが多いから、私の日常は最近厄介なことが多いわけで。
え、ちょっと待ってあと10メートルでもう家に着くんですけど。嬉しい。嬉しすぎる。
家帰ったら昼寝してゲームして映画見て、と色々想像を膨らませつつ、弾むような足取りで家までの距離を縮めて――――
「あー!!Aじゃーん、こんなとこで会えるとかラッキー」
この世って残酷だと思う。幸せの頂点にいたかと思えば、次の瞬間絶望のどん底に突き落とされてたりすることってよくあるよね。…私だけなのか?
「Aー♡」
にこにこ笑顔で近付いてきたマイキー君を前に、私はなけなしの抵抗として空々しい演技をする。
「あー、そういえば私、野暮用あったんだったー、それはもうすんごい大事な野暮用でー、忘れてたなんて大変、今すぐ家に帰らないとー(棒)」
大事な野暮用とか矛盾しまくってるけど、今はとりあえず彼奴から逃げることだけ考えよう。
つったかたー、と走り出して、
「逃がさねぇよ♡」
「ですよねー」
…うん、薄々予測はしてた。足の速さがうさぎとかめどころか、ジェット機とカタツムリぐらいの差があるから、普通に追いつかれるとは思ってましたけども。
やめて後ろから抱きつかないで締め上げないで。背骨が逝くから。
「…何故ここに」
「ん?何となく?」
あっはは、私ってば運命にも見放されてたみたいです。家知られたらそれこそ詰むじゃん。毎日押しかけられるの確定やん。
「…それより、エマから聞いたんだけどよ、」
彼の声が一オクターブほど低くなり、背中がヒュッてした。
「この前の休日、他の男とデートしてたって、マジ?」
おおいエマァァァァァァァァァ!君は何ちゅうことをしでかしてくれたんだよ!?
いや、言いたくなる気持ちは分かるけどさ、あの後エマに連絡するの忘れてた私も悪い、六割四分ぐらいの割合で悪いけども、それでもよ。
「べつに、でで、デートではなく、質の悪いナンパに引っ掛かったというか…」
「は?知らねぇよ、デートじゃなくても他の男といたのは事実なんだろ?」
えちょっとこれガチめに怒ってるやん。
2554人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時