Episode32 ページ34
「ああいう服とか、似合うんじゃね?」
肩を掴まれ向けられた方向に視線をやれば、そこにあったマネキンには、白地に細いストライプ柄のオフショルダーワンピースが着せられていた。
夏服なので当然生地は薄めで、涼しげな印象を抱かせる。
「ああいうのは、Aちゃんみたいな華奢でデコルテが綺麗な子が似合うんだよな」
「おお…」
見た目も性格もチャラいけど、服のセンスはいけてると思う。あの服結構好きかも。
「では、お兄さんの意見に従って…」
「俺はお前の兄貴じゃねぇから。蘭って呼べ」
「それなら、オールダーハイタニ、略してオーハイさんと…」
「蘭って呼べ」
「いやー…」
「呼べ♡」
「………はい」
いいえと言える雰囲気じゃなかった。一瞬本気で死を覚悟した。なんたる暴虐。
〜♪♪♪♪
おっとここで救いとしか思えない電話の着信音が。ワンコールすら待たずに出る。
『あ、A〜?そろそろ買い物終わったし、どっかで待ち合わせ…』
「しようしよう待ち合わせしよう。さっさとしよう、今すぐにでも」
『え、なんでそんな食い気味?』
もうこの人たちから離れたい、特に兄。本能がビンビンに警鐘鳴らし始めてるので。
でもまあとりあえずこれで救われたと一息つきかけて、横からひょいっと携帯を奪われた。
「Aちゃんのオトモダチ?悪いけどさ、ちょっとコイツ借りてくな〜」
『え、それって――――』
なんかエマの戸惑う声が聞こえたけど、構わずプチンと彼は電話を切る。
――――神はいなかった。
エマとの連絡を強制的にシャットアウトされたせいで落ち込んでた私だけど、彼ら兄弟にお昼ご飯をごちそうしてもらい、デザートのチョコレートケーキを食べる頃にはそこそこ気分は晴れていて。私って案外チョロいかもとか思ったけど、気付かない振りした。
モグモグと夢中で頬張る私を、頬杖をついて微笑む兄と、窓に頭を預けさせる弟。似てるな、顔。
「Aちゃんはさ、どういう男がタイプなワケ?」
「………え」
食べてる最中にそんなこと言われても。すぐに千冬の顔が浮かんだけれど、千冬みたいな性格の人間が好きかと言われれば、そうではない。
優しいけれど、少し意地悪で、そっけない時もあって。
そんな千冬が好きだけれど、そんな性格の人間が好きかと言われれば、それは違う。
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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時