Episode30 ページ32
□■ side A ■□
何やってんだ私は。バカか、私は。いや、バカだ私は。
何か気づいたら体が勝手に動いていたというか。目の前にいる彼はおろか、周りにいる女の子たちまでが口を半開きにしてるじゃないか。
これで『は?誰だよオマエ』とか言われたら、羞恥で軽く3回は死ねると思う。
やっぱりこんなことすべきじゃなかった、お人好し過ぎでしょ私とか後悔しまくる私に、
「―――いや、オレも今来たとこだし、気にすんなって」
先程までの鬱陶しそうな表情とは一変して、甘い笑顔を浮かべる彼。
……良かった、意図は汲み取ってくれたっぽい。
もういいや、ここまで来たらやるとこまでやっちゃおう。
「えーっと彼女達は……リンドウ君の、お友達?」
名前はさっき会話で聞いた。どんな字を書くのかは分からんけど、竜胆、とかかな。
「――まあ、そんなとこ」
「そっか!……いつも彼がお世話になってます」
一切の邪気を含まない、ただただ純粋で愛らしい笑顔、それもとびきり可愛くてピュアな笑顔を女の子たちに向ける。敵意を微塵も含ませないことがポイント。
「いえ、別に……」
「こちらこそ、です…」
「彼女さん、こんなかわいいひとが、いたんですね……」
――――そうすれば彼女達は、さっきまでのギラギラハイエナ顔はどこ行ったんだって言いたくなる位に、狼狽するから。
「あっ、じゃっ、それじゃあ竜…灰谷君、私達はこれで!」
「お邪魔してすいません!」
背を向けてそそくさと帰っていく彼女たちを確認して、私の顔からは笑顔が剝がれる。
「―――。…じゃ、」
「!?…いや、ちょっと待てって」
私もしれっとさりげなく帰ろうとしたら、普通に引き留められたわ。…うん、まあそうなるわな。進行方向と逆向きに腕を引かれて、よろめいてそのまま竜胆君とやらの胸の中にダイブ。やだ、ダイターン!……ふざけてみたけど、全然笑えなかった。
「わり……」
―――んー、意外と初心?顔赤くしてるし。人のこと言えないけどさ。
「なんで、わざわざ…」
え、理由聞くの?理由聞いちゃうの?
「………、………。――――、―――別に、何となく」
「ひねり出してそんだけか?」
仕方ないだろコミュ能終わってんだよ自慢じゃないけど。
「――何かお礼するからさ、」
「……」
「んな嫌そうな顔すんな、へこむ」
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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです!!はい!花子くん大好きです!! (2022年3月2日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか??違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう!?!?いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします!💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです!毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます!雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~!!! (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨降り星 | 作成日時:2021年10月10日 11時