Episode27 ページ29
繊細な仕草で人差し指を伸ばし、彼の桃色の薄い唇に、指先をそっと当てて。
最も蠱惑的に見える角度で、艶っぽい目つきで、嫣然と唇を吊り上げる。
自分の顔を熟知している私は、どうすれば自分を魅力的に見せることができるのかも勿論、完璧に把握している。いやー、私ってすごい。
目を見開く彼を前に、ゆっくりと口を開いた。
「もっともっと、頑張って私のことドキドキさせてみて？――そうしたら、考えてあげないことも、ないかも」
「…っ！」
…まあそんなことはないですけど。だって千冬一筋ですから、私。
A：お色気verを解除して、普段通りの無愛想な顔つきに戻る。
「と、まあこんな感じで色気というものは出すのであって―――…、あれ、マイキー君？マイキーくーん」
…うん。なんか彼、昇天してたわ。意識が飛んでいるというか。私の余りの妖艶さに、クラっどころか意識プッツンしてました。
まったくーいったい誰がこんな酷いことをしたんだー、許せないなー(棒)
私は何もしてない。談笑してたら勝手にこの人が意識飛ばしました。私は知らないったら知らない。…よし、自己暗示完了。
面倒になるのは嫌なので、早々に家を出た。え？薄情な女だって？―――ちょっと何言ってるかよく分かんない。
「――A」
「…千、冬」
最悪だ。帰り道、千冬に遭遇してしまった。いつもは最高だと思えるのに。
千冬のことは好きだけれど、どうしても先程の光景を、校門でのやり取りを思い出してしまう。
「場地さんがお前のこと見たって言ってたから探してたのに、どこ行ってたんだよ」
少しイラついたような口調で、彼はそう言う。
「…別に。人気者の松野君が、私みたいな引きこもりを気にするなんて、珍しいね」
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ。こんな卑屈なこと、言うつもりじゃなかったのに。どうしても、言葉に棘を含ませてしまう。
「――何オマエ、怒ってんの？」
揶揄う響きのある言葉に、何故だか凄く、ムカッとした。
「イケメンだって言われてたよね、可愛い女の子に」
「…何が言いてぇの？」
「…積極的に好意寄せられてるね、良かったね」
「……、Aに関係ねぇだろ」
―――冷たく、突き放すような声だった。体の芯から冷え込んでいくのが分かる。
「……そうだね」
何か物言いたげだった千冬に気付かない振りして、歩き始める。――――目頭が、じんわりと熱くなるのを誤魔化しながら。
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雨降り星(プロフ) - れななさん» 凄い嬉しいです！！はい！花子くん大好きです！！ (2022年3月2日 21時) (
レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
れなな - 今日初めて読んだんですけど、もっと早く読んでたらなあ、、って思いました(*´ω`*) もしかしてなんですけど、花子くん読んでますか？？違ったらごめんなさい。 (2022年2月27日 17時) (レス) id: 4324c59b1c (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - らんさん» 結婚しましょう！？！？いつもありがとうございます、これからもぜひぜひよろしくお願いいたします！💕💕💕 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
雨降り星(プロフ) - チョコプリンさん» それはすごい良かったです！毎度毎度コメント励みになってます、ホントにありがとうございました🥰🥰🥰 (2021年11月16日 20時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
らん - コメントするのが遅くなってしまいました😭😭完結おめでとうございます！雨降り星様安定で大好きです😍隣の天使も更新楽しみにしてます~！！！ (2021年11月16日 20時) (レス) @page47 id: 6288d5ccfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨降り星
| 作成日時：2021年10月10日 11時
